テラーノベル
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東亰都狗頸市の住宅街。
信愛、茜、さくらの3人は、狗頸神社を通り過ぎ、人気の少ない住宅街を歩いていた。
夕方の陽射しは建物に遮られ、細い路地にはどこか薄暗い空気が漂っている。
茜が先を歩くさくらに声を掛けた。
「ねぇ? さくら?あとどのくらい?」
さくらは振り返り、軽く手を振る。
「もうすぐだから!」
信愛は無言のまま周囲を見回す。
さくらは記憶を辿るように辺りを見回した。
「お母さんから聞いた話だとこの辺に──」
その時だった。
「あ!あった! あった!」
さくらは嬉しそうに駆け出す。
「ここだよ! ここ!」
三人の視線の先には、一軒の古びた空き家があった。
茜は建物を見上げる。
「ここか・・・確かに日当たり悪いね」
信愛は二人を見て静かに口を開く。
「ねぇ? 二人とも」
その一言に、さくらと茜は心の中で期待を膨らませた。
(ついに来たか?)
(ほら! 言えよ!
『ここなんだか寒い』って言えよ!)
しかし、信愛の口から出たのは全く別の言葉だった。
「もう十分でしょ?今日は帰ろう?」
さくらは思わず声を荒げ
「何言ってんの!せっかく
ここまで来たんだからさ!」
と言いながら、心の中では
(そういうの求めてないんだよ!)
と、裏腹な言葉をつぶやく。
信愛は首を横に振る。
「やっぱダメだって!空き家って言っても
管理してる人居るんだし勝手に──」
言い終わる前に、さくらが被せる。
「いいじゃん! いいじゃん!」
そう言うと、さくらは迷いなく玄関へ近づき、ドアノブに手を掛けた。
「ちょ! さくら?」
茜が慌てて止めようとする。
「家の中までは──」
──ガチャ。
茜の言葉をかき消すかのように、乾いた金属音が静かな路地に響いた。
「え?」
さくらは目を丸くする。
「ん? どうかした?」
信愛が不思議そうに尋ねる。
「あ、いや・・・」
さくらは恐る恐るドアノブを見つめる。
「なんかさ・・・
鍵・・・開いてんだよね・・・」
「え? なんで?」
茜も驚いて目を見開く。
さくらは肩をすくめた。
「いや、何でかは分かんないけど
開いてるんならいいじゃんね?」
そう言うと、さくらは躊躇いなくドアを押し開け、そのまま家の中へ入っていく。
「ちょ! さくら!」
茜が慌てて後を追った。
それからさくらは空き家の扉をくぐる。
しかし、さくらは激しく咳き込む。
明花永(あかな)
12
#普通
野々さくら
202
ドラゴン店長
30
「ゲホッ! ゲホッ!」
鼻をつく埃臭さに顔をしかめる。
「何ここ?埃がすごいんだけど」
長年手入れされていなかったのだろう。
室内には厚く積もった埃が舞い、床には生活用品や家具が無造作に散乱していた。
割れて収納棚。朽ちかけたタンス。
積み上げられた段ボール。放置されたままの雑貨。
まるで時間だけが止まってしまったような、悲惨な有様だった。
空き家と言うより廃墟と言ったほうがしっくりくる。
室内はそれほどまでに荒れ果てていた。
すると後から入ってきた茜が顔をしかめる。
「ちょ! さくらってば!」
「話が違うじゃん!
家の中までは入らないって話で──」
さくらは悪びれる様子もなく笑う。
「いいじゃん!開いてんだからさ!」
さくらは茜の言葉を遮るように口を開きかけた。
「いや! だって──」
だが、その言葉は最後まで続かなかった。
「・・・・・」
さくらは突然表情を失い、まるで時間が止まったかのようにその場で立ち尽くす。
「ん? さくら?」
異変に気付いた信愛が声を掛ける。
「ん? どうかした?」
茜も首を傾げた。
「いや、さくらが変なんだよね」
茜はさくらを指差す。
(なに?様子がおかしい)
信愛はさくらの違和感に眉を顰める。
「え? どうしたの? さくら? ねぇ?」
茜は心配そうにさくらへ歩み寄ろうとした。
その瞬間だった。
ドンッ!
見えない何かに突き飛ばされたように、茜の身体が勢いよく吹き飛ぶ。
「きゃ!」
尻餅をついた茜に、信愛は慌てて駆け寄った。
「茜? 大丈夫?」
「さくら! 急に何なの?」
しかし、さくらは返事をしない。
ただ、焦点の合わない目で前を見つめたまま、微動だにしなかった。
「黙ってないで何とか言いなよ!」
怒りと不安が入り混じった表情で、茜は再びさくらへ詰め寄ろうとする。
「待って!」
信愛が鋭い声で制し、茜の腕を掴んだ。
「ちょっと! なんなの!」
茜は信愛を振り返る。
信愛は静かに、しかし確信を持った口調でさくらを見つめた。
「あ、あなた・・・」
一拍置き、小さく問い掛ける。
「誰?」
その言葉に、茜は意味が分からず目を丸くした。
「え? え? どういう事?」
さくらは依然として何も答えない。
沈黙だけが、薄暗い室内を支配していた。
信愛はさくらから目を逸らさず、低く言い放つ。
「さくらに──霊が取り憑いてる」
コメント
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×××さん、こんばんは。みぅです🤍🥀 第6話読みました!鍵が開いてる空き家、ってだけで背筋が冷えたのに、さくらが急に動かなくなって、信愛が「誰?」って聞くシーン、めっちゃ怖かった…。さくらに霊が取り憑いたって信愛が言い放った瞬間、ゾッとしました。3人の空気感がじわじわ伝わってきて、続きが気になる!次も楽しみにしてますね🌙