テラーノベル
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一同は近くのファミレスへ入り、信愛は絹から聞いた霊貴冥孤についての話を美月へ伝えた。
「なるほど・・浦添くんのお母さんが・・・」
美月は信じられないという表情で息を呑む。
信愛は静かに頷いた。
「はい・・・だから霊貴冥孤は
間違いなく詐欺師だと思います」
美月は力なく視線を落とす。
「やっぱりか・・・」
重苦しい沈黙を破ったのは茜だった。
「でもさ?霊貴冥孤が詐欺師って
分かったからって、これからどうすんの?」
さくらも腕を組みながら続ける。
「そうだよ!元々それを
話し合うつもりだったんだ訳だしね」
「それなんだよね・・・」
信愛も頭を悩ませる。
その時、朝陽がおずおずと手を挙げた。
「あの・・その事なんですけど・・・」
焔垂が首を傾げる。
「ん?どうした?」
茜が笑みを浮かべる。
「何か名案でも浮かんだ?」
朝陽は真剣な眼差しで全員を見回した。
「僕が霊貴冥孤に霊視を
依頼するってのはどうです?」
「え?朝陽くんが?」
信愛は目を丸くする。
「なんで朝陽くんが依頼するわけ?」
さくらも不思議そうに尋ねた。
朝陽は落ち着いた口調で説明を始める。
「霊貴冥孤は、お母さんが歩んできた人生が
特殊だったからこそ、下調べをしても
真実に辿り着けなかった・・でしたよね?」
焔垂は頷く。
「ああ・・・そうだな」
朝陽はそこで一呼吸置いた。
「なら逆を言えば、僕が歩んできた人生も
特殊って事になりませんか?」
「あ!確かにそうだよね!」
信愛が思わず声を上げる。
茜も思い出したように口を開いた。
「お母さんが虐待で逮捕されて
それから叔母さんに引き取られた」
さくらが続ける。
「なのに何故か、また母さんと一緒に暮らし始めた。
理由を知らなきゃ『何で?』って思うもんね」
「ですよね?」
朝陽は静かに頷いた。
「しかも叔母は警察に自首した訳でもなく
今は実家に居るわけですから逮捕歴もない
だから調べても情報は出てきません」
焔垂は顎に手を当てた。
「あ、でもさ?実家を調べられたら
さすがにバレるんじゃないか?」
朝陽は首を横に振る。
「それなら大丈夫です」
自信を持って言葉を続ける。
「僕から実家に『僕の素性について聞いてくる
変な人が居たら、ある事ない事伝えてくれ』
って事前に言っとけば」
「確かに・・それなら問題ないよな」
焔垂は感心したように頷く。
朝陽は静かに締めくくった。
「ホットリーディングのカラクリを事前に
知っているなら対策は簡単に出来ますから」
「そっか!そうだよね!
さっすが朝陽くん♬」
茜が笑顔で親指を立てる。
「いやぁ〜天才だわ♬」
さくらも満面の笑みを浮かべる。
しかし朝陽は照れくさそうに鼻の下を指でこすり、苦笑した。
「いや、それほどでも♬」
満更でもない様子の朝陽を見て、一同の表情には久しぶりに明るい笑みが戻っていた。
しかし美月が待ったをかけるように、勢いよく身を乗り出した。
「ちょっと待ちなさい」
その鋭い声に、その場の空気が一変する。
「何勝手に話を進めてるの!?」
突然の叱責に、信愛は思わず目を瞬かせた。
「え?」
美月は朝陽を真っ直ぐ見据えたまま言葉を続ける。
「だから私、昨日言ったわよね?
教え子を詐欺に巻き込めないって」
信愛が何か言おうとするより早く、美月は首を横に振った。
「でも朝陽くんなら──」
「絶対にダメ!」
その言葉には、一切の迷いがなかった。
茜が困ったように肩をすくめる。
「だったら美月ちゃんは、このまま
弟さんが霊貴冥孤に騙され続けてもいいの?」
美月は静かに息を吸い、視線を落とした。
「そういう話をしてるんじゃないの」
そして小さく呟く。
「私が言ってるのはね?
アナタ達にもしもの事があったら──」
その時だった。
信愛が胸にそっと手を当てる。
「だったらこれを見てください!」
「ん?」
美月が不思議そうに首を傾げる。
信愛は優しく微笑み、誰かに語りかけるように口を開いた。
「もし朝陽くんでも太刀打ち
出来なかった時の為の虎の子です」
「虎の子?」
美月はますます困惑する。
信愛は楽しげに辺りを見回した。
「佳苗?居る?」
少し間を置いて、さらに呼びかける。
「居たらちょっと来てくれないかな?」
信愛が自らの胸に手を当てた。
美月は信愛の不可解な行動に首を傾げる。
コメント
1件
おお、朝陽くんが自ら囮になるって提案、頭いいな!ホットリーディングの仕組みを逆手に取る発想、めっちゃ好き🔥 でも美月先生の「教え子を巻き込めない」って立場も分かるし、その葛藤がリアルだったわ。最後の信愛の「虎の子」…まさか佳苗さん?続き気になる!
#普通
野々さくら
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ありあ
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