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水を嫌がる二匹を風呂に入れた。猫用のシャンプーはないので、軽く水洗いをする。どうしても、気になる部分は無添加の石鹸で洗う。人間用のでは、動物たちには使えない。人間用の物のほとんどは毒でしかない。真っ黒だった二匹の猫は、汚れが落ち、風呂場が黒くなっていった。

「おぉ…美人さんだね」

「そうですね」

タオルで拭いて再確認すると二匹の猫はツヤツヤの毛に、白と灰色の猫だった。

「白と灰色…君達は会いに来てくれたのかな」

「何言ってるんですか」

博士は懐かしむように猫を見ていた。猫でも昔飼っていたのだろうか。

「白は雌で…クリームは雄か…」

「そうみたいですね」

「そうだね…」

「博士…」

「去勢手術はやっとったほうがいいかな?」

「今の現状ではどちらでもいいですからね」

今この世界では猫以前に生き物が少ない。増やそうが減らそうがどちらでも可能だ。

「今はこのままにしとくとして…」

「はい」

「今すぐにしないといけないことがあるよね」

「ありますね」

博士と考えていることが同じなのだろうか。

せーの

「にゃんこの名前」

「ペット用品」

見事に違った。

「いやいや、名前が先でしょ」

「いえ…我が家には猫用の物がありません」

「確かに…」

「人間の廃棄物しかないのでキャットフードを買わないと…」

「廃棄物って?」

「それにお風呂に入れたのは良いですが…ちゃんとした猫用の物でやるべきなので」

「無視された…」

「物以外にもありますし…」

「まぁね」

「後、予防接種などもしないと…」

「うん…」

「なので…」

「いや!!何を言いたいのか分かる」

博士は手を前に突き出し抵抗するような動きをしている。

「…買い物でしょ」

「はい。そうですよ」

「マリー行ってきて」

「博士も一緒に行きましょう」

「無理!!」

「博士…」

「いやだーいきたくない!!」

駄々こね始めた。今回は、『博士の物を買うから…』じゃないので説得は難しそうだな。猫を買うと決めた以上、私が行くしかない…私だけが行くしかない…

「はぁ…なら私一人で行ってきますよ」

「…うん」

「博士は猫の世話をしてください」

「名前考えておきます」

「変な名前にしないでくださいよ」

「失礼な!!良い名前を考えておくよ」

「そうですか…」

じー

「なにその信用のない目は」

「いえ…私の認識では博士のネーミングセンスは絶望的な気がしますが」

「失礼な」

「畑ロボットになんて名前を付けましたか」

「白玉」

「では、畑にある案山子に博士はなんて名前をつけましたか」

「山田長寿の助太郎」

「変です」

白玉は色的に、見た目的に…なら分かる気もするような気がする。…がなんで、畑の案山子にそんな変な名前が付けられるのだろう。本人に至っては、大真面目で付けている。このままでは、猫たちにも変な名前をつけてしまう。

「決定権は博士にはありませんので」

「えぇ~」

「文句ありませんよね」

「はい…」

拗ねる博士は置いておいて、位置情報を使いペット用品がある場所を調べる。

ピピッ!!

「博士場所を特定したので行ってきます」

「…はやく帰ってきてね」

「博士…さみしいなら一緒に行きましょう」

「それはやだ」

「そうですか」

わがままだな。

「マリー無理していかなくてもいいよ」

「行かないと飼えませんよ」

「心配だもん」

「心配無用です」

博士は、私が初めて一人で店まで歩いて向かい。一人で買い物をした後ここまで戻ってこれるか心配のようだ。心配なら一緒に行けばいいものを…

「初めてのお使いだよ!!」

「博士…今までサオンで買い物をする際大丈夫でした」

「でも現状がそん時と違うし…」

「問題ありません」

「マリー心配な時はいつでも連絡してね」

「大丈夫です」

「一分ごとでもいいよ」

「大丈夫です…博士こそ秒ごとに連絡してこないでくださいね」

「マリーからの連絡がほしい」

「用がないので無理です」

「ちぇっ…」

「予定では一時間半には戻りますので」

「いってらっしゃーい…ア・ナ・タ」

「いってきます」

博士に見送られながら、門の方に向かい扉を開けて出る。鍵をしっかりと閉めて、もう一度確認する。次に、脳内にアップロードした地図を使い向かう。これで、迷うこともない。

今回は、初の一人で買い物だ。今まで博士と一緒に買い物に行ったが…

ぐゎ…あぁ…

うぁ…あぁ…あ…

相変わらず外は騒がしい。家から離れれば離れるほど、数は増えていく。

20分ほど歩いた先には、目的地が見えた。

【コアラ】

ここは、木材、生活用品、花や工具、家具など多くのものが置いてある大きな店だ。食料品がないのは残念だが、ここなら使えるものも多くありそうだ。

入口は、三箇所ある。一つ目は、木材売り場の入口。二つ目は、中央入口。三つ目に、園芸売り場の入口。

木材売り場は、閉まっているので中央入口から入る。やはり、中にもあの者たちが多くいる。かごを取り進む。博士と一緒に買い物するなら、あの者たちをどうにかしないと…

サオンの時のように時間をかけて片付けていくしかない。でないと、博士は車で待機することになる。まぁ、行きたがらないだろうけど。今もなお、私がいないということで部屋でだらだらしているんだろうな。そんな事を考えながら、ペットショップを探す。

(ペット用品…ペット用品…!!)

ワンワンワンワンワン…

ペットショップの一部は破壊され、水槽などは割れていた。また、そこにいた動物たちはあの者たちと同じようになっていた。動きがおかしく、色も元の状態とはかけ離れたカビように…

やはり、動物たちも生き物すべて皆等しくこうなるのだろう。残念だ。

ワンワンワンワン…

「……………!!」

これは、想定外だった。

あの者たちなら、私を見ても反応しなかったが…

この動物たちは襲いかかってきた。

ガンッ…

右腕に噛みついてきた。

まずい…

ドンッ…

振り払い一度距離を置く。腕に痛みは無いが服が破れ、中の構造が見える。

「これは…めんどうですね」

この動物たちを避けながらの買い物…

尚更、博士と買い物に行くことは難しそうですね。

私が生きるゾンビ世界

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