ガチャァン…「あっ…」
風も吹いていないのにリビングにあった花瓶が倒れた。ガラスではなく、硬い陶器だったので割れずに済んだ。
にゃー
まぁー
猫達が音に反応して集まってきた。
「大丈夫だよ」
水が溢れたので雑巾でテーブルを拭く。後は、水を戻せば…
「完成!!これくらいなら私もできるよ!!」
まぁ、花のお世話は三日も続かずに終わってしまうけど…
にゃ~
まぁ~
「褒めてくれるの…ありがとう!!」
猫達を撫でる。
ゴロゴロ…ゴロゴロ…
喉が鳴り気持ちよさそうに目を細める。
「マリー早く帰って来ないかな」
にゃ~
まぁ~
「一人は寂しいからね…」
無事に戻ってきてほしいな。まだかな。
博士が猫達と帰りを待っていたとき…
ワンワンワンワンワンワンワンワンワン…
動物達と追いかけっこをしていた。
「やはり…めんどうですね」
罠を仕掛け、通りかかった所に木材やタイヤを落としていたがそれではきりが無い。
グワッ…
噛みついてきたので間一髪のところで避け棚の上に登った。
動物達は棚の上に登ることができず、ジャンプをし飛びついてきている。ここなら、捕まることもないだろう。
「あっ…」
よく考えれば、普通に下を歩けばあの動物達に追いかけられるので最初から棚の上を歩いていればよかったのでないか。
「盲点でした」
棚の上を歩き、離れている場所はジャンプで飛び乗る。動物達も棚という障害物を避けながら追ってきているので、先程より追いついてくる者達が減っている。ただし、一つ問題がある。それは飛び跳ねたりなどジャンプをする行為は疲れやすいことだ。私自身、充電式なので飛び跳ねる分減りが早い。このまま、ずっと飛び跳ねながら長いすると途中で充電が切れて倒れてしまう。もし、中で倒れるとあの動物達の餌食になり、充電をしようとするとその間に破壊されてしまう。逆に外で倒れるとあの者たちの餌食にはならないが充電するところが無く、帰れなくなってしまう。そしたら、猫が餓死してしまう。←博士もだよ。
博士は家事が一切できないし、料理だって一歩間違えば家事になる。何度もキッチンをめちゃくちゃにされたことか…
『できた…』←<( ̄︶ ̄)>
掃除機をするのだって上手くできず、改造して使い勝手を良くしようとして爆発物を作ってしまう。
『綺麗サッパリなくなった~』←(・o・)
家は崩壊。猫はダメダメな飼い主により死んでしまう。多分、あの人猫が食べれない物とか詳しく知らずダメなものを食べさせそう…いやそれ以前に何が何処にあるかとか分からず餓死になる。猫が尊い命がなくなる。………………………………………急いで帰ろう。
カゴの中にお目当てのものを颯爽と入れていく。
猫用のオヤツとご飯…これらを大量に。
お皿とおもちゃと首輪と…服は必要な時に作れば良いとして、他に何が必要だろう。一応、猫を飼うとして必要な物はアップデートしている。
これくらいで、他には無いだろう。一応、生活用品も見ておこう…と向かっていると
ガタッ…
「…!!」
何か音がした。奥の方から…
急いで向かう。スタッフ入り口の方にあの者たちが集まっている。何かあるのだろうか。
ガタ…ガタガタガタ…ガチャ…ン
皆で押し押せていたので窓が割れた。
バタン…
次に扉も倒れた。その瞬間流れるように大勢の者たちが入っていった。
「まさか…」
視界を温度確認モードに切り替えながら急いで向かう。様子を見ると…
奥の方に暖色の人影が見える。それに向かってあの者たちが向かっている。
扉を棚で塞ぎこれ以上入らないようにして進む。少しでも、あの者たちを倒し危険性をなくしていくが…
「うゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎ…あ…」
声がする。充電が減るがもっとスピードを上げて向かう。
「あっ…」
奥の個室。そこには、先程まで生きていたのだろう人があの者たちに喰われていた。無慈悲に噛みつき、肉を千切る。目には薄っすらと水がこぼれていた。喰われたものは色が変わり、起き上がっていた。もう、目から水は流れていない。
「……………」
私は後ろから殴りつける。そして近くにあったライターであの者たちを燃やす。
ぐゎ…あぁ…
うぁ…あぁ…あ…
悲鳴を上げながら肉が溶けるように落ちていき原型が無くなり炭へと変わっていく。
火が他のものに移る前に消していく。
そこに残ったのは形が亡くなった炭だけだ。
その姿を最後まで見て、手を合わせる。私はこの者たちを助けることはできない。この者たち…死んだものを生き返らせることはできない。
手を合わせ祈ることしかできない。そこに感情はない。これが当たり前なのだから。
でも、一つ思ったことがある。この者は最後に何を思ったのだろう。何を覚悟したのだろう。何を約束したのだろう。…何かあるのだろうか。
『マリー』
声が聞こえる。どこからか|記録《思い出》の中からだろう。そこには白衣を着た者達がいる。何か話している。そこにいるのは…
ピピッ!!
充電の残りが半分も無い。
扉を閉めて、カゴを持ちここから離れる。
「帰ろう」
博士のもとへ
私が居なくてはならない場所へ
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