テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「まあ、嬉しい。海外なんて初めてだわ」
お母さんもずっと工場の事務仕事で大変だったと思う。これからは、2人でもっとゆっくり過ごしてもらいたい。
「ねえ、今日は何かあったの?」
「いや、実は……」
お父さんは言葉を濁した。
「まあ、とりあえず中に入って」
両親に言われ、私はリビングに向かった。
「琴音!」
「姉さん!」
そこにはなぜか涼香姉さんがいた。
「ちょっとどういうこと? 大事な話があるからって来てみたら、どうして琴音がいるわけ?」
「今日はお前達と家族だけで話がしたかったんだ」
「家族ですって? 今さら何なの? どういうつもりよ」
「涼香。お前のその態度、それは家族に対する態度なのか?」
お父さん……今日は口調が厳しい。
「は? パパは私が悪いっていうの?」
「2人とも止めて! でも、ちょうどいいよ。みんなでちゃんと冷静に話そう」
「みんなして私を責めるつもりなのね」
涼香姉さんは、私達を睨みつけた。
「涼香。お願い、話を聞いてちょうだい。誰もあなたを責めたりしないわ。私達は家族なのよ。だから落ち着いて」
お母さんは、悲痛な面持ちで言った。
「もう少しで琴音は海外に行ってしまうんだ。だから、その前にお互いの本当の気持ちを話し合っておくべきだと思う」
「パパ、私達は別にケンカしてるわけじゃないわよ」
「涼香姉さん。私、姉さんとはもっと分かり合いたいし、普通に笑ったり、話したりしたいの。でも、それができないことが、やっぱり……すごく悲しいよ」
それは私がずっと願っていたこと。
「普通って何? あなたは鳳条グループの一員で私を見下してるわけ? どうせあなたと龍聖さんは契約……」
「止めて! 私は龍聖君にキチンとプロポーズされて夫婦になったの。私は、確かに鳳条家の一員よ。だからって、姉さんを見下すわけないじゃない」