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# 海 .
53
#クロスオーバー
もち
36
#MGA
波野🐏
203
スタジオでの練習が続く中、5人で集まる時間もだんだん増えていた。
その日も、曲の途中で一度休憩になった。
元貴は床に座りながら、キーボードの前にいる藤澤涼架を見た。
「ねえ」
涼架が振り向く。
「うん?」
貴は少し考えてから言った。
「涼架ってさ」
「うん」
「なんか…呼びにくくない?」
涼架は少しきょとんとする。
「そう?」
「うん。なんかこう…」
元貴は手をひらひらさせる。
「涼架って言うとちょっと固いっていうか」
高野が笑う。
「分かるかも」
綾華も頷いた。
元貴はそのまま聞いた。
「さ、涼ちゃんって呼んでいい?」
一瞬、少しだけ間が空いた。
でも涼架はすぐにふわっと笑った。
「いいよ〜」
その答えに元貴も笑う。
「じゃあ今日から涼ちゃんね」
綾華がすぐ言う。
「涼ちゃん、そのさっきの音もう一回やって」
「はい〜」
自然に呼び方が変わる。
高野も普通に言った。
「涼ちゃん、そのコードいいな」
「ほんと?」
楽しそうな声。
若井はその様子を少し離れたところで見ていた。
(もう涼ちゃんかよ)
心の中で思う。
でも、確かに。
「藤澤」と呼ぶ感じでもないし、
「涼架」と呼ぶのも少し固い。
若井は少しだけ考えてから、ギターを弾きながら言った。
「……涼ちゃん」
キーボードの前の涼架が振り向く。
「はい?」
若井は少しだけ視線を外しながら言う。
「さっきのとこ、もう一回弾いて」
涼架はにこっと笑った。
「はい〜」
その日から、自然と。
みんなが同じように呼ぶようになった。
涼ちゃん。
スタジオの中で、その呼び方が当たり前になっていった。
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