第1章 『 侵食 』 2話 。
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星名 . /
「 何見てんだよ 、気持ちわりぃ 。 」
アイジがふと振り向いて 、
アタルに声をかけたのは 、
昼休みの屋上だった 。
アタルは 、何も考えていないような顔を
していた 、が 、さっきからずっと
アイジのことを見ていた 。
柏木 . /
「 いや …そのなんか …
疲れてんのかなって … 」
星名 . /
「 別に疲れてねぇよ 。アホか 」
そう言ってそっけなく笑うアイジの
横顔に 、アタルは違和感を覚えた 。
さっき 、階段で転けそうになった時 、
彼は一瞬だけ 、ものすごく
” 不安そうな顔 ” をしていた 。
なんで 、そんなことで怯えたような
顔をしたんだろう ?
柏木 . /
「 でも …元気ないように見えた 。 」
星名 . /
「 見えたからなんだよ 。 」
柏木 . /
「 … いや 、なんでもない 。ごめん 」
アイジは眉をひそめたが 、
それ以上突っかかってはこなかった 。
その日の放課後 。
アタルは図書室にこもりながら 、
自分の中に浮かんだ言葉にゾッとした 。
( 今日のアイジ 、ちょっと可愛かった 。)
そんなこと 、思うはずじゃなかった 。
あいつは強くて怖くて 、どこか人を
見下してるような男だ 。
でも ____ あの一瞬の弱さ 。
見つけた自分だけが知っている 。
仮面の裏側 。
それを もっと見たい _____
アタルはもう引き返せなかった 。
翌日から 、彼は意図せず 、
アイジの弱点を探すようになる 。
廊下ですれ違うとき 、
授業中に筆記用具を落としたとき 、
誰かに話しかけられて 、ほんの少し
表情を曇らせた瞬間 ____
気づけば 、 アタルの目は常に
アイジを追っていた 。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹 ____ 。
コメント
19件
おほほ…/確かにアイジくんは強そうに見えて一瞬だけ弱いところもあるよなー…//
続きが気になる
なぜか文字が斜めになる現象が 1部治らなかったの泣く