テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
午後の光がやわらかく差し込む公園の小道。二人は並んで歩いていた。
「なろっち、今日もふわふわしてんな」
翔の声はいつも通り穏やかだったけれど、なろの胸は少しざわついた。
「そ、そんなことないよ…ていうかなんか失礼じゃない!?」
ふわふわした自分を見透かされているようで、なろは少し恥ずかしかった。
しかし、その後の会話は徐々に言い争いに変わる。
「翔くんがおかしいでしょ!?なんでそういう言い方するの?」
「いや、ちゃうわなろっちが分からんだけやろ!」
言葉が熱を帯び、二人の距離が少しずつ広がる。
「…翔くん、そんな風に言わなくても…」
なろの声は震えていた。
「もうええ、なろっちなんか知らん!」
翔は背を向けて歩き出す。
なろはその背中を見つめ、胸の奥がぎゅっと締め付けられた。初めて見る際の怒った姿。
「ッ…どうしてわかってくれないの…」
その瞬間――。
遠くの道路に、猛スピードで車が突っ込んでくるのが見えた。
「翔くん!」
なろは必死に叫ぶ。しかし、翔は振り返らず、なろの声に耳を貸さなかった。
「このままじゃ翔くんが!」
心臓が張り裂けそうになる。なろは足を踏み出した。
「絶対、絶対守る……!」
時間がスローモーションのように流れる。 迫る車、振り返らない翔、そしてなろの決意。
なろは全力で翔に駆け寄り、ギリギリの瞬間に翔を突き飛ばした。
自分は――そのまま車にぶつかる。
強い衝撃が身体を貫き、世界が白く染まる。
翔はその場に立ちすくみ、恐怖で震えながらも心が凍りついた。
「な、なろっち、俺が、俺が話を聞かなかったせいで…!」
自分が振り返らず、なろの叫びに耳を傾けなかったことが、なろをこの危険にさらしたことを、期は即座に後悔した。
意識のないなろを前に、翔は手を震わせながら必死に呼ぶ。
「お願いや一目、覚ましてくれ… なろっち………俺のせいや……俺のせいや……!」
後悔と恐怖、そして自分を責める気持ちが渦巻き、翔の涙が止まらなかった。
周りは静まり返り、風だけが二人の間を通り過ぎた。
それでも翔は諦めない。
目の前で意識のないなろを、全身で後悔と共に守ろうと呼び続ける――。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!