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エピローグ
最終話 煌めく光達
昼下がりのラディス。
外では子どもたちの賑やかな声が響いていた。
「俺の方がおっきいやろ!」
「私の方がツルツルして綺麗だもん!」
「見て見て!こっちはちょっと赤っぽい!」
子どもたちはお気に入りの石を持ち寄って遊んでいる。
それは、かつて魔石と呼ばれた石たち。
役目を終え、光を失い、今は小さな手の中で静かに転がっている。
窓から吹き込む風が、柔らかく金色の髪を揺らす。
ジントは窓辺に腰掛けながら、その声に目を細めた。
手には届いたばかりの一通の手紙。
封蝋には太陽の紋章。
自然と頬が緩む。
封を開く。
力強い、美しい文字が並んでいた。
『ジントへ。
元気か?
こちらは相変わらず毎日仕事に追われている。
皇城も帝都も教会も、すっかり落ち着いてしまって退屈なくらいだ。』
クスッと笑う。
脳裏に、黄金の髪と瞳が浮かんだ。
『最近隣国の式典でジュウタロウと会った。
あいつも相変わらずだ。
……いや、また少し雰囲気が柔らかくなったかな。
フィルディアで元気にやっているらしい。
二人に会いたがっていたぞ。』
涼しげな銀色の瞳を思い出す。
『シュンタとの約束も果たさないと、また手紙が届きそうだ。
あいつは本当に懲りない。
あと、月の里で頑張ってアプローチしているようだが、どうだろうな』
今度は真っ赤な髪と、悪戯っぽい笑顔。
思わず吹き出してしまう。
『またいつでもダイチと帝国へ来い。
その時はシュンタを呼んで、無理やりでも仕事を休んで、みんなでフィルディアへ行こう。
約束、果たそうな!
ハヤト・ソレイユ』
読み終えた手紙をそっと畳む。
ジントは窓の外を見た。
穏やかな街並み。
人々の笑い声。
風に揺れる木々。
守りたかった景色が、そこにある。
やがて道の向こうから、一頭の馬が駆けてくるのが見えた。
群青色の髪が風になびく。
ジントの表情がぱっと明るくなる。
しばらくして。
ーーコンコン。
小さなノックの音が響く。
「ジント?」
「はーい」
扉を開ける。
そこには、嬉しそうな顔をしたダイチが立っていた。
「ハヤトから手紙、届いとった?」
「うん!」
ジントが頷く。
「姉ちゃん達が“皇子様からやー!”って騒ぎ出したから逃げてきた」
𝕔𝕠𝕔𝕠
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#み!るきーず
ぷりんねこ
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comi
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はる☻
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「あははっ!」
思わず笑う。
「想像つくなぁ」
二人は並んでベッドへ腰掛けた。
それぞれ届いた手紙を見せ合う。
穏やかな午後の光が部屋を満たしている。
ジントは隣の横顔をちらりと見た。
少し大人びた顔。
旅に出た頃よりも逞しくなった身体。
変わらない優しい声。
サファイアのような青い瞳。
ーー好きだな。
改めてそう思う。
ふと、自分の右手へ視線を落とした。
薬指には月色の指輪。
柔らかな光を受けて煌めいている。
「そういえば、月の里からも手紙届いてたよ」
「おぉ!ミレイアさん達か!」
「みんな元気だって」
「そら良かった」
ダイチが嬉しそうに笑う。
「あのばあさん、まだまだ長生きしそうやからなぁ」
「ふふっ、確かに」
「シュンタも諦めずにセレネさんとこ通っとるんやな〜」
ダイチが半ば呆れた声を上げる。
「いつか上手くいくといいね」
二人は顔を見合わせて笑った。
窓から差し込む陽光。
けれど二人の脳裏に浮かぶのは。
旅の途中で見た景色。
夜空に浮かぶ満月。
大切な仲間たちの顔。
泣いて。
笑って。
傷付いて。
それでも前へ進み続けた日々。
その全てが、今ではかけがえのない宝物だった。
だがこんな穏やかな部屋の中では、あの長かった日々が、一夜の夢だったのではないかとさえ思える。
「会いたいな……」
思わずぽつりと呟く。
大好きな仲間たち。
月の里にいるみんな。
旅の途中で出会った人々。
ふと、ダイチがジントの顔を覗き込んだ。
「寂しいん……?」
少し心配そうな声。
青い瞳が揺れる。
「……ううん」
ジントは首を振り、微笑む。
「また、会えるから」
そう。
また、会える。
「……うん、みんな元気でおるもんな」
ダイチの言葉に頷きながらも、そっと目を伏せる。
「……だけど、今でも月を見る度に思い出すんだ」
そして窓の外、見えない月を見つめる。
「あの日のこと……」
あまりにも長かった夜。
世界が変わった夜。
大きく、白く輝く満月。
そして、月へ溶けていく二人の姿。
「……一緒やな」
「え?」
不思議そうに首を傾げるジント。
ダイチは何も答えない。
ただそっと、ジントの右手を取り指輪を見つめる。
温かい手。
優しい力。
ジントも自然に握り返す。
「ジントがこうしてここにおる」
指輪にそっと口付ける。
「それが俺の全てや」
ジントは顔を上げる。
青い瞳を見つめる。
その瞳に映る、月色の石。
ーーそうか。
「……全部、ここにあるんだ」
ジントはダイチの首に腕を回す。
ギュッと強く抱きしめた。
ダイチも優しくジントを抱きしめ返す。
「俺、今……、幸せだ」
目を閉じ、噛みしめるように呟く。
頬を、一筋の涙が流れた。
薬指にはめられた指輪が、一際眩しく煌めいた。
その光は、まるであの日の月のようだった。
闇に呑まれ、一度はその姿を隠しても、全てを受け入れ微笑む月。
それは今はただ、二人の未来を静かに照らしている。
月蝕の子 完
最後までお読み下さった読者の皆様へ、心より感謝を申し上げます。
ありがとうございました(*˘︶˘*).。*♡
comi
コメント
18件
本当に素晴らしい作品でした。こんなに長い作品を最後までリズムを崩さずに綺麗に終わらせるの、凄すぎます…… 展開がいつも新鮮で、隅々に張られた伏線も全て回収されていて、天晴です…! この作品が、私が💙💛に触れるきっかけでした。この作品に出会えて本当に良かったです。 改めて、ここまで長い間、素敵なお話を届けてくださって、ありがとうございました! これからもcomiさんを応援しています!

