会いたいようだから手下に第三王子を連れてこさせた。アスルは連れてこられたモスペリオを見て絶句している。全裸なのに驚いたのか、涙を流してるのに驚いたのか。 「喜べ。おまえはさっきモスペリオが子をなすことはないだろうと言ったが、心は子どもでも体は立派な大人だったぞ。昨日もおとといも一滴残さず子種を吸い取ってやった。この調子でいけば余を身ごもらせる日も近いはずだ」
「身ごもらせるって、モスペリオがいくら若くても、ネロンパトラ、おまえはもう五十路じゃないか! 妊娠なんて無理だし、これ以上ひどいことをしないでくれ。モスペリオはずっと涙を流して口も利けない状態じゃないか!」
「女を知ったのがそれほどうれしかったのかもしれないぞ」
「モスペリオ、嫌なことされたら嫌だと言っていいんだぞ」
「それは難しいかもな。一度でも余に逆らったら兄を、つまりおまえを殺すと言ってある」
アスルの顔が怒りで歪んだが、口から余を罵る言葉は出てこなかった。余を口汚く罵倒すればこの場で兄弟二人とも処刑されることは理解しているようだ。