テラーノベル
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次の日の朝。
教室の空気は、昨日のままだった。
いや、正確には――
昨日より、はっきりしてる。
“あいつは関わらない方がいいやつ”
その認識が、クラス全体に広がってる。
俺は、自分の席に座る。
隣は、空いていた。
(……まだ来てない)
少しだけ、安心した自分がいた。
しばらくして、いるまが入ってくる。
いつも通りの顔で、
いつも通り静かに席に座る。
でも、違う。
誰も話しかけない。
視線も、ほとんど向けない。
完全に、“いないやつ”みたいな扱い。
(……これ)
昨日までとは、明らかに違う。
気づいてないわけがないのに、
いるまは、何も言わない。
何も気にしてないみたいに、
ただ前を見てる。
「……」
声をかけようとして、
やめた。
(今、話しかけたら)
周りの視線が、一気に集まるのがわかる。
昨日の言葉が頭に残ってる。
“こっちに迷惑かけないでくれよ”
(……めんどくせぇ)
そう思ってしまった。
結局、俺は何も言わなかった。
授業中も、
休み時間も、
隣にいるのに、
一言も話さなかった。
いるまも、何も言ってこなかった。
ただ、それだけ。
放課後。
「帰るぞー」
いつものやつらに声をかけられる。
「おう」
自然に、そっちに足が向く。
そのまま教室を出るとき、
一瞬だけ、後ろを見る。
いるまは、席に座ったままだった。
昨日と同じ景色。
でも――
昨日とは、違う意味で。
(……まあ、別に)
そう思って、目を逸らす。
そのまま、帰った。
帰り道。
やたらと会話が軽かった。
笑って、
どうでもいい話して、
“いつも通り”だった。
なのに。
(……なんだこれ)
妙に、引っかかる。
何かを見ないようにしてる感じ。
でも、それに気づかないふりをしてる感じ。
家に着いて、
スマホを見ても、
なんか落ち着かない。
理由はわかってる。
でも、考えないようにする。
(……別に、俺の問題じゃねぇし)
そうやって、無理やり納得する。
そのはずなのに。
頭の中に残ってるのは、
昨日の、あの一言。
“関わらない方がいい”
(……それでいいのかよ)
自分で選んだくせに、
なんか、気持ち悪かった。
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