テラーノベル
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駅前のカフェ。ガラス越しに見える二人の姿に、思わず足が止まった。
笑ってた。
ふみやが、あの子の髪にそっと触れながら、いたずらっぽく笑ってた。
あの子も、照れたように肩をすくめて――ああ、あの笑い方、俺、知ってる。
でも。
もう、俺に向けられることはないって、わかってた。
俺は、ただの“友達”で。
彼女がふみやと付き合ってるって、知ってて。
それでも、気づかないふりして隣にい続けた。
バカみたいに、淡い期待なんか持ってさ。
「……ふみや、いい顔するな」
ポツリと、独り言みたいに口をついて出た言葉。
あの子を見つめるその横顔に、少し嫉妬した。
でも、それ以上に――安心してる自分もいた。
俺じゃ、あの子をあんな風に笑わせられなかった。
“好き”って気持ちだけじゃ、届かないものがあるって、やっと気づいた。
ポケットの中のスマホが震えた。
ふみやからのメッセージだった。
「今どこ? これから3人で会えたりする?」
……あぁ、ほんと優しいよな。
何も知らないくせに。
俺がどんな気持ちでこの恋を終わらせようとしてるか、知らないくせに。
「ごめん、今日は予定あるって伝えて」
返信を打って、スマホをポケットに戻す。
「……ばいばい」
小さくつぶやいて、歩き出す。
あの子にも、ふみやにも、聞こえないように。
自分にだけ、届くように。
もう、大丈夫だよ。
俺の中だけで、終わらせる。
静かに、誰にも気づかれないように。
それが、俺なりの“好き”の終わらせ方。
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