テラーノベル
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俺たちはPKST団!伝説の盗賊団だ!!
…なんて、ありがちすぎる導入だろうか?でも、それでもいいんじゃないかな。当たり前を楽しむのも、一つの手で。
俺───ぺいんとは、本当に悪ガキと言っていいほどみんなを困らせる。まぁ代表的なのでいえばイタズラ、ドッキリ、無茶振り、グリッチ…などなど。数えきれないほどだ。
それは真面目な人から見れば本当にしょーもない園児みたいな遊び。それでも、俺はそれを楽しくないなんて思わない。
確かに真面目ちゃんも楽しいが、不真面目ちゃんも楽しいから!
…そうだ。今回は俺たち───PKST団について話をしてあげよう。そうだな…遡ること、十数年前かな───……
……………
「…。」
十数年前の冬の時期。それは俺───ぺいんとが高校3年生だった頃。周りは大学受験やら、就職なんかに追われていた。そんな中、俺は何もせず読書をしていた。いや、まぁ就職希望ではあるが、正直今の趣味といえば動画投稿だろう。
…でも、それだけで稼げるとは限らない。世の中とは、そういうものなのだ。それが世界の常識。そう思うのが、暗黙のルール。暗黙のルールがあるのが、世界の常識。それが、当たり前。
俺の言っている意味がよくわからなくていい。いつか分かるし……そういうものだって、すぐに分かる。
「ぺいんとくん!クラスライン入ってないよね?」
あるクラスメイトの1人───クロノアさんから話しかけられる。彼は優等生という中の優等生であり、真面目で誰もが頼りにする存在だ。…実際に言えば、俺も彼がすごいと思っている。 学年成績は常に上位、運動神経も抜群、人当たりの良さ……。
そんな彼が、俺は妬ましい。
「入ってないけど…お、俺スマホ持ってないので…!!」
…なんて言い訳だ。自分ですら困るほどの言い訳。高校生になってまでスマホを持っていないなんて今時あり得るだろうか。いや、あんまりありえない。流石にやんちゃの人でも高三でスマホは持っていてもおかしくない。
ヒヤヒヤと焦りながらも俺は机を眺める。
「そっか、じゃあなんか大事な連絡とかがあったらまた言うね!」
「あ、ありが、と……ございます。」
彼の周りには自然と人が集まる。そんな中の俺…いや、本当に月とスッポンだ。「はぁ」と一つため息をついて読書を始める。
ちなみに今読んでいる本は、不真面目な男子生徒が真面目になるという本だ。正直言ってしまえば、この本は面白くない。なんというか…ありがちすぎるのだ。いやまぁ王道だからこそ!っていうものがあるんだろうけれども…。
俺にしちゃ、それは”真面目すぎて”面白くない。王道なんてこの世にたくさんある。
でもそれは小説とか、漫画だけ。奇想天外なことが起こるのが現実だ。奇想天外なことが起こるから、遊びは楽しくなる。奇想天外なことが起こるから、人生は辛くなる。奇想天外なことが起こるから、奇跡が起こる。
それが俺にとっての”面白い”なのだ。
「……。」
パタンっと本を閉じて図書室へと足を進めた。やっぱり今見たいものはこんなものじゃない。何というか…もっといいものを求めている。…我ながらに我儘だが。
そうして図書室に一歩足を踏み入れた。図書室にいるのは俺以外に2人だけ。1人は真面目そうな男子生徒と、もう1人は女子みたいな男子生徒。どちらも同じ学年だからそいつらが誰なのかわかる。
1人の真面目そうな男子生徒は、確かトラゾーといったはず。成績は上位だが数学がひどいとみんなからよってたかられている。それでもコミュニケーション能力が高く、友達が大勢いるのだとか。
そしてもう1人の女子のような男子生徒は、確かしにがみだったはず。成績はそこまで良くなく、いい噂があまりないが悪い噂もあまりない。それでもみんなと仲良く平等に接することのできる人だと。
…まぁ、その2人に関しての情報はそれくらいだな。あぁ、でもトラゾー…くんの方に関しては図書室で読んでいる本でわかることがある。
それは…彼も俺と同じく、名探偵コ◯ンが好きだということだ!
初めて図書室で彼を見たとき、手に持って読んでいるコ◯ンの小説に俺は驚きを隠せない…というわけではなかったが、心の中ではめちゃくちゃ”仲良くしたい!”なんて思っていた。
…まぁ、それが叶うこともなく現在に至るのだが。
それでも同志がいるだけで俺は図書室に来るのが楽しみになっていた。
「…あ、ぺいんとくん!」
「はいっ?!?!」
ふと声をかけられ震え声で返事をすれば、呼びかけてくれたのは、まさかのトラゾーくんだった。
「あのさ、今日の放課後って空いてる?」
ふと言われたことに少し頭を悩ませる。まぁ、今はパソコン部…やることも何もない。中学の頃は剣道部だったが流石に高校では辞めた。まぁ、何というか…”違う”んだよな。
「え、と…空いてます。」
「お!がちで!じゃあ放課後に玄関で待っててくれる?」
「は、はい…」
俺は動揺しながらも頷き、本だけを返してそそくさと教室に帰った。
コメント
9件
ぺんちゃんが解釈一致すぎて……なんか、色々通り越して感動です……😌 ありがとうございます!!(?)
やばい!最高すぎる!!師匠やべぇ才能だ!!次のやつもワックワク(((o(*゚▽゚*)o)))に待っています!!
新作も素晴らしい!! 頑張ってください!