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1 - 第1話

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2023年04月13日

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朝起きてリビングに入ると、朝食を用意した母親が笑顔で『おはよう』と挨拶して、仕事に行こうとしていた父親が頭を優しく撫でながら、『おはよう、行ってきます』と言ってくれるのが、当たり前だと思っていた。


家を出るとき、母親が玄関で『行ってらっしゃい』とお見送りしてくれるのが当たり前だと思っていた。


学校に着くと、クラスメイトが『おはよー!』と声をかけてくれるのが、当たり前だと思っていた。


家に帰ると、『ただいま』と言う。リビングのほうから『おかえり』と返ってくるのは、当たり前だと思っていた。


宿題を終わらせ、家族全員で食卓を囲んで『いただきます』と言ってから夕食を食べるのは、当たり前だと思っていた。


夜寝る時、母親と父親に『おやすみなさい』というと、笑顔で『おやすみ』と返してくれるのは、当たり前だと思っていた。











朝起きても、用意されていない寂しい食卓。


誰もいないリビングに『いってきます』という。


教室ではいつも、何も喋らない。


家に帰ると、申し訳程度に置かれたお金で夕飯を買う。


1人で使うには大きい食卓に、コンビニ弁当が1つ。


『いただきます』




『おやすみなさい』


そう言って自室へ戻るのが9時。

その2時間後、11時に母親は帰ってくる。


そして、6時にお金だけ置いて家を出ていく。




私が起きるのは、7時。





この家に置いてかれるのは何も無くて


与えられるのは2000円のお札じゃなくて愛情で


それがきっと幸せで



その幸せが当たり前だと思っていた。

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