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──夜になり、夕食の後片付けも済んで、自分の部屋でひと休みをしていると、ノックの音と共に蓮水さんがドアの端から顔を覗かせた。
「入ってもいいか?」
「ええ、どうぞ。お部屋で休んでいたところなので」と、中へ招き入れた。
「もうお仕事の方は、いいんですか?」
「ああ」と、彼が頷いて、「急ピッチで終わらせてきたよ」と、笑顔を浮かべた。
「せっかくの休みの日だと言うのに、君と過ごせなくて残念でたまらなくてな」
心底残念そうにも口にする彼に、「昨日、たっぷりと過ごさせていただきましたから」と、微笑んで返した。
「いや、昨日は昨日だからな。私は、いつだって君といたいくらいだ」
ちょっぴり甘えたな彼の言葉がくすぐったくて、
「ふふっ、ありがとうございます」
と、頬を緩ませて告げた……。
「……そういえば、華さんがアルバムのことを聞きに来たんだが、見たんだろうか?」
ベッドの上に並んで腰かけると、彼が思い出したように口を開いた。
「はい、カッコいい蓮水さんが、いっぱいでした」
「そうか、そう言われると、恥ずかしくなるな」
彼が照れたように口にすると、
「……アルバムの中には、その、千明の写真もあっただろう?」
やや言いにくそうにも切り出して、「はい、とても素敵な方で」と、感じたままを返した。
「……そんな風に言ってもらえて嬉しいよ。それで君に、彼女のことで少し話しておきたいことがあるんだ」
「何でしょう?」と、傍らの彼に顔を向けた。
「……昔、結婚をした頃の話なんだが、」
「結婚をされた頃の……」
どんな話なんだろうと思いつつ、彼が話し出すのを待った──。