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それは、2月の雪の降る日だった。
霞む目と冷え込む指が摩擦し合った。
その摩擦からか、それとも心からか、それは分からなかったが目頭が熱くなるのを感じた。
「また、会えるかな?」
声にならない声とはこのことだった。喉はかすれて声も出なかった。
返事は返ってこなかった。それと同時に頭から一つ一つ、何かが抜けていく感覚のみが残った。
「もう、会えないのかな?」頬を伝う水玉が多くなる。一滴づつ悲しみが滴った。
その時、聞こえた気がした。
「いつか、また逢う日まで」
もう何でも良かった。気のせいでも、思い込みでも、私は応えを返した。
「当たり前でしょ」
元気付けられたのかもしれない。
最後まで弱かったかもしれない。
でも、最後は笑顔だった。
そのまま枯れるまで泣いた。
「日常」が「日常」に変わるのが悲しかったから。
でも、何もかも清々しかった。
その何かは忘れてしまった。
それでも私は生きている。
私はこの世に存在している。
これはバッドエンドでは無い。
そう信じてこの世を生き続ける。
未来を見据えて。
過去を見つめて。