「じゃ、行きましょか」
「お邪魔しましたー!」
私たちは荷物を持ち、お世話になったスイートルームに別れを告げる。
(尊さん来てるかな)
エレベーターに乗った私は、メッセージアプリを開く。
今朝起きたら【チェックアウトに合わせて迎えに行く】とだけあり、昨日の一連の事への反応はない。
「昨晩はちょっとやりすぎたから、尊さんに謝らないとね」
「そうね、私も可愛いからって朱里さんに絡みすぎたわ」
エミリさんと春日さんは反省し合い、尊さんにどう謝るか相談している。
(そんな、怒る事じゃないと思うけどな。呆れてるとは思うけど)
ロビーまで着くと、春日さんはサッとフロントに向かった。
「私、ちょっと行ってくるから、二人で話してて」
「あの、春日さん!」
「ん?」
呼び止めると、彼女は立ち止まって微笑む。
「今回は色々ありがとうございました。次もぜひ女子会をしたいですけど、こんな立派なところじゃなくていいですからね?」
「そうそう、なんなら下見がてらラブホで女子会でもいいし」
エミリさんが言うと、春日さんの目がキランッと輝いた。
彼女は周囲をチラッと見てから、とてもいい笑顔で頷き、サムズアップした。
「ありがとね!」
エミリさんは彼女にお礼を言ったあと、ロビーのソファを指さして「あ」と声を漏らす。
「あっ」
そこには黒いチェスターコートを着た尊さんが座っていた。
「おう」
彼は私たちに気づくと、立ちあがってちょいちょいと手招きをした。
「一日ぶりです」
私は両手を広げてテテテ……と彼に近づき、パフッと抱きつく。
尊さんは私を優しく抱き締めてから、「はー…………」と長い溜め息をついた。
「……エミリ、この借りはでかいぞ?」
「あらやだ。朱里さんも心の底から楽しんでいた女子会を、借りだなんてそんな。スパダリなのにみみっちい事を言わないわよね? 彼女の行動を規制なんてしないわよね?」
尊さんはエミリさんに言われ、チッと舌打ちをする。
「怒ってるのかな?」と思って彼を見上げると、尊さんは溜め息をついて尋ねてきた。
「楽しかったか?」
「とっても!」
頷くと、彼は溜め息をついてクシャクシャと私の頭を撫でてきた。
「……なら、しゃーないか」
その時、春日さんが手に紙袋を持ってこちらにやってくる。
「はい、お土産に用意してもらった、ホテルのショコラとマカロン。おやつにして。あと、ホテルから紅茶もあるわ」
「わぁ! お土産まで……! ありがとうございます!」
私は申し訳ないなと思いつつ、笑顔でお礼を言う。
春日さんは喜んでいる私とエミリさんを見て得意げな顔をし、尊さんに向かってどや顔をする。
「……うぜぇ」
「私、朱里さんと一晩過ごして、彼女の色んな面を知っちゃった」
「どうでもいいけど、セクハラすんなよ。女同士だろうがセクハラは成立するんだからな」
「朱里さんだって喜んでたもーん」
「はいはい、またな」
尊さんは私の手を握り、歩き始める。
「じゃ、じゃあまた! ありがとうございました!」
私はペコッと二人に会釈をし、手を振って尊さんについていく。
「またね~!」
「楽しかった! ありがとう!」
手を振る二人にもう一度会釈をした私は、チラッと尊さんの顔を盗み見した。
「……妬いてます?」
「…………どちらともいえない」
「アンケートですか」
彼の言い方がおかしくて、私はつい突っ込みを入れて笑う。
私たちは二十八階のフロントから地下一階まで行き、別のエレベーターに乗り換えて地下二階の駐車場に向かう。
尊さんの車に乗ると、早くも「帰ってきた」という気持ちになる。
「朱里」
「はい? ん」
呼ばれて彼のほうを向いた瞬間、抱き寄せられてキスをされた。
コメント
2件
アカリン🥧を触られ、きっと お姉さま方に嫉妬して 拗ねミコになってるよね~🤭 これは、😺吸いからの お仕置きかな....⁉️💕💕( *´艸`)
🐱猫カイヌシ猫吸いしたいもんねー💕😍(*´³`*) ㄘゅ💕