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「イザベラ様、ルイ王子から12歳のお誕生日おめでとうというメッセージです」
大きな花束とケーキとメッセージカードが出てくる。
馬車に乗りっぱなしで1ヶ月、私は誕生日を迎えた。
一文なしになったことで、カルロスはルイ王子に超高速伝令を送った。
すると王子はガッツリお金を送ってきてくれたのだ。
なので余裕を持って帰れるのだけれど、とにかく早く帰りたいので寄り道はしない。
私の最強サポータールイ王子に早く会いたい。
「アーデン侯爵にカモられたことが、ルイ王子に知られたのは恥ずかしいですが超一流のプロは人の心を捨てなければなれないことが分かりました。そして、未だ私はこの宝飾品を売れません。これを見るとレナード王子との夢のような時間に浸れるのです」
私は帰国したら休業中の結婚相談所をルイ王子と再開するつもりだ。
私は憎しみに駆られ人の心を捨て稼ぐ気になっていたが、本当に人の心を捨てた超一流のプロと遭遇し自分の甘さを知ったのだ。
「レナード・アーデン侯爵に会ってあんなに近くでお話ししたのですから誇らしいことですよ、世界一の大富豪です。レオ国にもたくさん彼のお店があります。世界で1番の美貌は女ではなく男の中に存在するというのは本当だったのですね。男の私でも見惚れてしまいました」
カルロスがいつになく元気になっている。
超一流のプロは女だけでなく側にいた男のカルロスまで幸せにしたと言うことだ。
「つまり、ハリウッドスターのような方と15分間お話しをし、お土産までもらったと言うことですね。大邸宅が買えるような金額を払いましたが、それでも安い気がしてきました。私は異世界で39年生きてきましたが、そこまでの経験はありません」
日本の芸能人とはフライトで遭遇したが、ハリウッドスターに会うことはなかった。
彼らはプライベートジェットとかを使っていて、旅客機では会えないと言うことだろう。
「イザベラ様が異世界から来られた別人だと言われた時は、あなた様のお心が心配になりましたが。今は別人だと確信できます。ハリウッドスターの意味はわかりませんが、異世界の言葉ですね」
流石にもうカルロスと旅して、1年と7ヶ月だ。
彼だって旧イザベラとは面識があるだろうし、別人だと気が付くだろう。
「レナード・アーデン侯爵と話したこと友達に自慢できますね。しかし、ご本人はレオ国には絶対出禁にした方が良いと思います。女性の破産者続出しますよ。国の負担になります」
私はアカデミーに入ったら、せっかくだから青春をもう一回やると思い楽しもうと思い直した。
友達にレナード・アーデン侯爵のサイコパスっぷりと、恐ろしいほどの魅力に遭遇し不思議体験をしたことを披露したい。
「イザベラ様を別人と確信した今、イザベラ様の現在の貴族社会での状況をお伝えしておこうと思います。現在、イザベラ様は貴族令嬢たちから連絡を断たれています。友人はいないと考えていただければと思います。でも、悲観しないでください。ルイ王子だけは、世界中が敵になってもイザベラ様の味方です」
カルロスが言った言葉に、一瞬私は頭が真っ白になった。
公爵令嬢という高い身分を持ち、生まれながらの可愛さを持つイザベラが村八分になっているということだ。
「イザベラ、とんでもない問題児ですか?可愛いだけがとりえ系? もしかして、バーグ公爵は周囲に彼女のことで謝り慣れていたりしますか?」
私はイザベラに転生してすぐ変なことを言ったら、彼女の父親のバーグ公爵が娘の心配よりルイ王子に即座に謝ったのを思い出した。
私の言葉にカルロスは悲しそうな瞳をしながら深く頷いた。