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『好きになって、ごめんね』
tg視点
夏の終わり、夕焼けの校舎裏。
静かな風が吹いて、俺の前髪を揺らす。
誰にも言えない気持ちを、ここに置きに来るのが癖だった。
笑ったり、はしゃいだりしてるけど――ほんとは弱くて、自分に自信がなくて。
そんなとき決まって来るのが、しおたんだった。
so ……また、ここにいたんだね
優しい声。
でも今日は、どこか違った。
tg …しおたん?
しおたんは、夕日を背負って立っていた。
その表情は、どこか切なげで、苦しそうで。
so ちぐちん
tg な、なに?
so 今日、言うつもりなかったんだけど…もう限界かも
胸がぎゅっとなる。
嫌な予感――でも、期待もしてしまう自分がいる。
so 俺、ちぐちんが、好き
風の音が止んだみたいだった。
tg …え?
so 友達とか、そんなんじゃなくて……ちゃんと、好き。気づいてたよね?俺の気持ち
俺は、何も言えなかった。
うんって言えばよかった。ありがとうって笑えばよかった。
でもなぜか、口が動かない。
tg …ごめんね
やっと出た言葉は、そんなものだった。
しおたんの目が、少しだけ揺れる。
so なんで謝るの?
tg しおたんに、こんなに想われるような人間じゃないから……
tg しおたんみたいな人は、もっと、すごい人に好かれるべきで…
涙がこぼれる。止められなかった。
tg 俺なんか、好きになっちゃだめだったよ
その瞬間、しおたんが俺をぎゅっと抱きしめた。
細い体が震えている。
so バカ。俺は、“ちぐちんだから”好きになったんだよ
tg …そんなの、ずるい
so好きになってくれてありがとうって言ってよ。
so “俺もしおたんが好き”って……言ってよ
俺は、ぎゅっとしおたんの制服を握りしめて――
tg …俺もしおたんが好き。ずっと、好きだった。こわくて、言えなかっただけ
夕焼けのなか、ふたりの影が重なって、ゆっくり揺れた。
ずっと言えなかった「好き」は、
あたたかくて、少しだけ泣きたくなるほどの優しさだった。
コメント
5件
やっぱかちゃまの描く作品大好きჱ̒^ ̳ ̫ ̳^♡ sotgえぐちでとうとい🥳♡
またになりますけど… 始まりかたと終わりかたが神すぎます! 尊い…