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【参加者番号42がルール違反を確認】
【処分を開始します】
その文字が画面から消えない。
雨はどんどん強くなる。
俺は駅前の屋根の下へ逃げ込んだ。
それでも震えは止まらない。
42番。
帽子の女の子。
あの紙を渡してきた。
『警察に行くな』
あの子がルール違反……?
俺はスマホを閉じた。
見たくなかった。
だけど。
また震える。
新しい通知だった。
【教育映像を送信します】
「……っ」
嫌な予感しかしない。
俺は再生ボタンを押した。
映像は暗い部屋から始まった。
カメラがゆっくり動く。
椅子が一つ。
誰も座っていない。
数秒後。
ドアが開いた。
入ってきたのは――
帽子の女の子だった。
俺は息をのむ。
女の子は静かに椅子へ座る。
顔は見えない。
帽子のつばが深すぎる。
機械音声が響く。
「参加者番号42」
「ルール違反を認めますか」
女の子は少しだけ笑った。
「認めません」
その一言だけだった。
機械音声は続ける。
「参加者へ忠告を行いましたね」
沈黙。
「警察へ行くな、と」
俺の鼓動が速くなる。
やっぱり。
あの紙のことだ。
女の子は何も答えない。
数秒の沈黙。
そして。
映像が突然切れた。
「え……?」
終わり?
その瞬間。
新しい文字が表示される。
【続きは現地で】
背中が冷たくなる。
現地?
何のことだ。
その時。
新しい案件が届いた。
【本日21時】
【廃工場】
【参加者全員集合】
全員集合。
今までそんな指示は一度もなかった。
俺は嫌な予感しかしなかった。
午後九時。
廃工場。
錆びた門。
割れた窓。
風が吹くたびに鉄板が軋む。
まるで映画のセットみたいだった。
中へ入る。
すでに数人集まっている。
六人。
……いや。
七人。
「七人?」
思わず呟く。
42番は処分されるはずじゃ……。
その時。
工場の奥から足音が聞こえた。
コツ。
コツ。
コツ。
全員が息をのむ。
暗闇の中から。
帽子を深くかぶった女の子が歩いてきた。
42番だった。
生きている。
でも。
何かがおかしい。
服は泥だらけ。
右手には包帯。
歩き方もぎこちない。
女の子は俺と目が合った。
ほんの一瞬だけ。
そして。
誰にも気付かれないくらい小さく。
首を横に振った。
「しゃべるな」
そう言っているようだった。
その瞬間。
工場中の照明が一斉につく。
眩しい光。
全員が目を細める。
工場の二階。
今まで誰もいなかったはずの場所に。
黒いスーツ姿の男が一人立っていた。
初めて見る。
組織の人間だった。
男はゆっくり拍手を始める。
パン。
パン。
パン。
工場中に拍手が響く。
「ようこそ」
低い声だった。
機械音声ではない。
初めて聞く。
人間の声。
「皆さんは今日から、本当の仕事を始めます」
俺の喉が鳴る。
今までのは。
本当の仕事じゃなかったのか。
男は静かに笑った。
「歓迎します」
「犯罪者の皆さん」
その一言で。
俺の世界は音を立てて崩れた。
(第十九話へ続く)
コメント
1件
おお……第18話、めっちゃゾクゾクしたわ。帽子の女の子(42番)がルール違反で処分対象ってところから、教育映像で本人が「認めません」って笑うシーン、めちゃくちゃ印象に残った。しかも工場集合で生きてるけど怪我してて、しかも「しゃべるな」って合図してくるとか……。最後の「犯罪者の皆さん」でぶった斩られた感あるよね。これまでのお話がぜんぜん違う意味に思えてきた。続き、気になりすぎる🔥