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人生最後の記憶は君がいい

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人生最後の記憶は君がいい

6 - 第6話 小説家

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2022年12月29日

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【第六話 小説家】

ひいらぎ公園、午後3時。肌寒い秋の季節。凍えそうになりながらも、暖かいコンビニで買ったコーヒーを2本持ち、朝美を待つ。

「お、お待たせしました…。」

朝美がゆっくりと、お洒落な格好で歩いてくる。俊介もお洒落をした。

「俊介さん、素敵ですよ。その格好」

「ありがとうございます..,。朝美さんも、似合ってますよ…。」

2人は頬を赤らめる。何か話題はないか、と頭を動かす。見つけた。前より頭の回転速度が速くなっている。

「見ました。【桜が散るその時に】。お、面白かった、です!!」

俊介は恋愛小説を見ない。そしてあまり魅力的には思えなかった。ちょっと嘘をついた。

「あっ、面白かったですか!よ、よかったです。あのシーン、良かったですよね…あの…はい。」

朝美も、案の定嘘をついた。何故なら、シンプルにその本を読んでいないから。適当に手に取ってオススメしたから。

「あ、あはは。あそこですよね。あはは。キュンキュンしましたね。はは。」

…話題は悪くなかったが、状況が悪すぎたようだ。すぐ次の話題に変える。

「ぼ、僕、小説家なんです。」

(まだなっていないが。)

「え、そうなんですか!凄いですね!カフェで作業していたのは、小説を書くためですか?」

「そ、そうなんですよ!!」

想像以上に盛り上がった。そして、カフェで言った一言、「小説、興味あります?」を思い出した俊介。話題を出した事に後悔する。

「あ、あのレジで言ったこと、そういう意味だったんですね!!納得です!!」

「あっ」

俊介は恥ずかしさで爆発しそうだ。覚えられている。はやく忘れてくれ。

「あ、あー。す、すみませんね…いきなりあんな事を言ってしまって。朝美さんと話したくて…。話題がなくてあんな事を。」

「びっくりしましたよ。でも、嬉しかったです。」

俊介は言葉を詰まらせた。表に出せない、この恋の感情を、爆発させようとしているからだ。しばらく話して、朝美のケータイから、ピロリン♪と通知音が鳴った。

「あっ、サークルメンバーから…あ、今日活動だ。すみません。私、帰りますね。楽しい時間を、ありがとうございました!」

「ま、待ってください!!ちょっと、お話が。」

「な、何ですか?」

「連絡先、交換しませんか!!」

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