11月13日は深草学園の創立記念日だ。
今年はそれが金曜日になる。
13日の金曜日なんて、何か出そうだが、ここの連中は全くそんな事を気にしない。
何せよく考えれば狐に猫又に魔女の集団を、寺の娘(対魔戦闘能力・拳法有段者)が率いているわけだ。
そんな事、気にするのは今更だろう。
今回はゆっくりと皆で夕御飯の買い物をして、登山口に着いたのは11時。
駐車場から登山口までの通路が、また綺麗だ。
「今が紅葉、一番見頃なのでしょうか」
「そんな感じなのです」
美洋さんと未亜さん、2人がそんな事を言って。
「今日は見晴らしという意味では今一つですけれど、その分沢や滝、紅葉が綺麗なコースです。歩きづめだと3時間ちょっとのコースですけれど、どうせですから、あちこちを見ながらゆっくり歩きましょう」
先生がそう宣言する。
「確かに森林浴だな、これは」
先輩もそんな事を言うくらいだ。
薄い緑色に塗られたしっかりした作りの吊り橋を渡って、対岸へ。
「ここの川も綺麗ですね。夏だと遊びにちょうどいい感じです」
彩香さんの言葉に、僕も同意する。
環境といい、水の綺麗さといい、いい感じだ。
「残念ですけれどね、ここも暖かい季節はヒルが出てしまうんです。私が大学生だったころは、西丹沢は大丈夫だったのですけれどね。だんだん西へ西へ広がっている感じで。ですから丹沢に来るのは、今では11月過ぎからですね」
うっ。
確かに、ヒルがいるのは嫌だな。
気持ち悪い。
「ただ、この季節はもういないから大丈夫ですよ」
「これだけ寒ければ、もう動けないだろ」
気温は10度を下回っている。
先週よりさらに寒くなった感じだ。
彩香さんは、先生から借りたフリースを着込んでいる。
僕は毛と化繊混紡の、襟のある長袖シャツだけれど。
「それにしても、いかにも秋の綺麗な登山って感じだな」
先輩が周りを見回しながら、そんな事を言う。
「先輩は、ここに来るのは初めてですか」
先輩は頷いた。
「ああ。昨年は自転車で三浦半島半周だった。テントも持ってな」
「それも楽しそうなのだ」
亜里砂さんの感想。
僕もそう思う。
「でも実は道がそれほど広くないし、車通りは多いし、何と言っても坂が多いんだ。美野里先輩だけは自転車の変速段が多くてすいすい行くけれど、他は先生も含めて結構大変だったんだぜ。あれはかなりきつかったな」
そんな事を言って歩いていると、丸太5本に板を打ち付けた簡素な橋が出現。
何かいかにも山道ですよ、という感じでいい。
沢も綺麗だし。
「滑るなよ」
そんな事を言いながら、注意して渡る。






