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第三章 はぐれ者編
第二十話「沈黙」
古流斬の残滓が消えた戦場。
虚飾は静かに息を吐く。
「……予定が狂った。」
目の前にはケイト。
その隣には黒のユーマ。
二人は迷いなく武器を構えていた。
虚飾は一歩後ろへ下がる。
「防衛軍の足止めは中止だ。」
その言葉と同時に、街中で戦っていた分身が一斉に後退する。
ジョトたちは驚く。
「撤退した……?」
ネイトは冷静に分析する。
「違います。」
「目的を変えたんです。」
⸻
虚飾は両手を広げる。
「分身。」
血が地面へ流れ落ちる。
一体。
二体。
三体。
次々と分身が現れる。
「あの二人を相手にするなら。」
「数が必要だ。」
これまで防衛軍の隊長たちを足止めしていた分身を、すべて自分の元へ集めたのだ。
虚飾は焦っていた。
(ケイト一人でも危険。)
(そこへ黒のユーマまで加わった。)
(長引けば……負ける。)
⸻
ケイトは静かに口を開く。
「はるかさん。」
「ここは危険です。」
「今すぐ防衛軍本部へ避難してください。」
はるかはユーマを見る。
「でも……。」
ユーマは笑って頷く。
「母さん。」
「大丈夫。」
「父さんが守った時間は無駄にしない。」
はるかは涙をこらえながら頷いた。
「……絶対、生きて帰ってきて。」
そのまま防衛軍本部へ向かって走り出す。
⸻
虚飾は大量の分身を従え、静かに二人を見つめる。
「これなら……。」
「まだ戦える。」
ケイトは剣を構える。
ユーマも能力『夢』で無数の剣を生み出した。
誰も動かない。
風だけが静かに吹き抜ける。
そして――
沈黙。
次の瞬間、その沈黙は激しい戦いによって破られようとしていた。
――第二十一話へ続く。
コメント
1件
うわ、第67話読み終えました……! 虚飾が焦って分身を総動員する展開、めちゃくちゃ緊迫感があって一気に引き込まれました。特にユーマの「父さんが守った時間は無駄にしない」って台詞、胸にぐっときました。家族の絆が静かに描かれてて、はるかさんの涙も含めて、感情がじんわり広がるいい場面でした。次、どうなるんだろう……続きが楽しみです!
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