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どうしようも無く寒い秋の日の事でした。
何重にも重ねたマフラーさえも意味をなさないような風と冷気が身体どころか内臓まで伝わって来るような日でした。
俺の住む場所は学校なんてものは小学校と中学校が一体と化したおんぼろな学校しかないようなとてつもない田舎で、正直この場所が嫌いでした。
家を出れば長袖という名の薄着をしたおばちゃんが田んぼで作業しているあたり、やはりここは田舎なのでしょう。
そのような事を考えながらふらふらと登校していたら、真っ黒にも程があるような鴉が眼前に降り立ちました。
酷く美しいその容姿は、小説に出てくるような美少女を思わせました。
「綺麗だね!」
背後から急に投げかけられたその言葉に酷く寝ぼけた私はんぇ?、とどうも間抜けな声を出してしまいました。
「…ああ、宮木か。」
彼女は宮木弥恵宮木弥恵。唯のクラスメートである。
「ねぇねぇ、最近流行ってる噂知ってる?」
宮木の奴が持ってくる噂はロクな物じゃない。
そして何故私に話すのか。
普段一緒にいる陽キャ共に話せばいいと思うのだが。
「幻夜百物語っていってね〜」
…鴉の話題から大分変わるな。
「鴉は何処へいったんだ。」
「ええ〜?別にいいじゃん!」
と言うか、寒いのに余計に寒くしようとする宮木の神経から理解出来ない。
「よくある百物語あるじゃん?」
百物語。蝋燭が百立つ囲炉裏を囲み、話が終わると一つ、また一つと蝋燭を吹き消していく怪談話、所謂オカルティズムな話だ。
「ほんとなら幽霊じゃなかったとしても実際の怪談を話すじゃん?
幻夜百物語はその逆。
百の話、全部の話を妄想とか、創作の怪談を話すんだって。あ、あと午前0時から始めるんだって〜。」
しょうもない。
「でさ〜うち、幻夜百物語やろ〜って誘われちゃってさぁ〜。渚も一緒にやってくんない?」
…普段、俺の名前を呼ばない癖に、こんな所で言うと言うことは…。
嫌な予感しかしない。
「いっ、囲炉裏はどうすんだよっ…。」
焦り、焦り。
いつでも逃げれる様に身を少し屈める。
…分かっては、いる。
こんな田舎なら、囲炉裏くらい、ぽんぽんある事を…。
実際、俺ん家にも…俺の婆ん家にも…ある事を…。
「…分かってるでしょ…?だから…お願いっ!」
そんな少女漫画のノリで言われても困る。
そして、俺は今更気づいた。
弥恵の友人、中1の割にはちっさい俺の後ろに立つ陽キャ達に…。
「…じゃ、明日は土曜だし、明日の11時に◯◯商店と◯◯◯煙草の目の前にある私ん家集合ね!」
「お母さんは…?」
「由里ん家に泊まるとでも言えば良いんだよ
〜!家はばあちゃん家だから大丈夫!ばあちゃん明日はいないから!」
…何故俺はこの陽キャ女子達の集団に入れられたのかさっぱりわからない。
「なぁ、月影渚月影渚さん…だよな?」
…こいつは俺と同じく急にこの集団に入れられた可愛いそうな奴…。
名前は何だったか…悠人、そうだ。
大島悠人大島悠人だ。
「あのぉ〜…?」
「心配しなくても聞こえてる。俺が月影渚だ。」
「ひっ!」
…そんなビビる必要は無いだろう…。
そもそも、お前の方が背は幾分かでかい。
(月影渚→約158㎝ 大島悠人→約165㎝)
「あっ、ごっごめん…。」
「何に謝ってんだよ。お前。」
「うぁぁ…っ。ごめんっ…。」
…めんどくさい奴だ。こいつ…。
「そこの男子、聞いてんの⁉︎」
…は?
「きっ、君達が勝手に進めていってるんじゃないか!」
お、よく言っためんどくさいビビり野郎。
「はぁ⁉︎あんた達が聞いてなかったんでしょ!」
「そーよ!ちゃんと聞いてよ!」
…大丈夫かこいつら…。