テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
もち@活動休止中
27,397
夕方の風が吹く。
でも、その言葉を聞いた瞬間から何も考えられなくなった。
ak「……出かける」
気づけば即答していた。
彼は一瞬きょとんとして、それから嬉しそうに笑う。
pr「即決やん」
ak「だって行きたいし」
言ってから、自分で照れる。
彼も同じだったらしく、耳が少し赤くなった。
pr「……俺も」
小さく返ってきた声。
二人とも少し黙る。
なんだか付き合い始めた頃みたいに緊張してしまう。
ak「どこ行く?」
pr「それ今から考える」
ak「ノープラン?」
pr「誘うんで精一杯やってん」
彼は開き直ったように言った。
思わず吹き出す。
ak「じゃあ一緒に考えよう」
pr「せやな」
嬉しそうな返事。
それから二人で歩きながら案を出し始めた。
映画。
ショッピングモール。
ゲームセンター。
カフェ。
話しているだけで楽しい。
pr「映画やったら隣座れるな」
彼がぽつりと言う。
ak「それ目的?」
pr「半分くらい」
ak「正直だなぁ」
pr「お前の隣やし」
またそういうことを言う。
彼は照れ隠しみたいに笑った。
pr「じゃあ映画のあと買い物して、ご飯食べて」
ak「めっちゃデートっぽい」
言った瞬間、二人とも固まる。
数秒後。
pr「……デートやん」
彼が顔を覆った。
ak「そうだけど」
pr「改めて言われると恥ずい」
ak「分かる」
二人で笑い合う。
でも胸の奥はずっと温かかった。
公園の前を通りかかる。
もうすっかり二人の定位置みたいになったベンチが見える。
彼は立ち止まって、少しだけ空を見上げた。
夕焼けがゆっくり夜に変わっていく。
pr「……楽しみやな」
本当に嬉しそうな声だった。
ak「うん」
pr「めっちゃ楽しみ」
ak「二回言った」
pr「それくらい楽しみやねん」
そう言って笑う彼の横顔を見ていると、 こっちまで待ちきれなくなってくる。
まだ数日先なのに。
きっとその日が来るまで、 二人とも何回もその話をするんだろうなと思った。
コメント
1件
第31話、すごく好きです…!デートの予定を考えてるだけなのに、二人とも照れたり笑ったりしてて、その距離感がちゃんと“今”の関係を映してるみたいで。「半分くらい」とか「デートやん」からのやりとり、めっちゃ刺さりました。まだ数日先なのに待ち遠しくなる気持ち、すごく伝わってくるエピソードでした🌙