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 ────ガタンゴトン



 ────ガタンゴトン





 楽しい時間というのは過ぎ去るのもあっという間で、夕陽の差し込む電車内で一人小さく息を漏らした。



(今日という日が永遠に続けばいいのに……)



 名残惜しく感じながらもチラリと隣を見れば、そこには天使のように可愛い美兎ちゃんがいる。

いっそ、このままお持ち帰りしてしまいたいところだが……。その欲望をグッと堪えると、俺は車窓から差し込む夕陽に瞳を細めた。



(…………。やっぱ、このままお持ち帰りしてぇ……)



 やはり、そう簡単に欲望は抑えられないらしい。だって俺、男だし。

 こんなに可愛い美兎ちゃんを前に、欲望を抑え込むだなんて……到底無理な話だ。


 ──だがしかし!

 相手は中学生。そんなこと絶対にできるわけがない。



(いや、待てよ。美兎ちゃんの合意さえあればイケんじゃね……?)



 だけど、万が一にでも振られようものなら……。



(……っ俺。もう、生きていけない……っ!)



 そんな不毛な思考を巡らせつつ、勤めて冷静な顔のまま一人脳内で悶々とする。──と、その時。

 ポスンとした軽い重みを感じて、左肩に目を向けてみる。




 ────!!?

 



(……っこ、これは……っ! 噂に聞く、肩ズン!!?)


 

 俺の左肩にもたれて、スヤスヤと小さな寝息を立てている美兎ちゃん。そんな姿を見つめながら、俺の瞳は目一杯瞳孔を開かせた。


 

(こっ、これって……もしかしてっ!! 今夜お持ち帰りOKサイン!!!?)



 途端に心拍数を上げ始めた俺の心臓。

 ズンドコズンドコと鳴り響く胸元をギュッと抑えると、徐々に荒くなる呼吸とともに「ヴッ」と小さく声を漏らす。



(ゥグッ……っ!! し、死ぬ……ッッ!!!)



「あの……大丈夫ですか?」


「……大丈夫、です……っ。嬉しすぎて死にそう……な、だけなんで……っ」


「は、はぁ……」



 血走った瞳で必死にそう答えれば、右隣にいる見知らぬ女性は俺に向けて怪訝そうな顔を見せる。

 折角美兎ちゃんからOKサインがでたというのに、どうやら俺の心の準備の方がまだだったようだ。その悔しさに顔を歪めると、血走った瞳で必死に涙を堪える。



(次こそは……っ。次こそは俺も覚悟決めるからっ……! それまで待っててね……っ、俺の可愛いうさぎちゃん……っ!!!)



 左肩に伝わる心地よい感触に酔いしれながら、俺は夕陽に向かってキラリと一雫、悔し涙を零すのだった。





君は愛しのバニーちゃん

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