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私達人間にとっての死とは、「生」から解放されることだが、この小説の主人公にとっては違うようだ。それはまるで、生きること自体が苦痛であるかのようで……。
「生」がある限り「死」はない。しかし「死」がなければ「生」もない。どちらが良いのかは分からないけれど、少なくとも「死」を望むようなことはないはずだ。それなのに、なぜ彼はそんなにも「死にたい」と思っているのだろうか。それが不思議でならない。
そしてもう一つ不思議なことがある。それは、彼がなぜそこまでして「生き続けたいか」ということだ。彼ほどの能力があれば、それこそ不死の力を手にすることも可能だろう。
それでもなお、生きることを望むのか? その答えを知る者はいない。なぜなら、彼自身にも分からないからだ。
ただ一つ言えることは、彼がどんなに死にたくても、「彼女」がそれを許さないということだ。
「どうしてそんなに簡単に諦められるんだ!?」
彼女の声は、いつだって彼を叱咤し続けてきた。だからといって、今更生き方を変えることはできない。
彼女はもういないのだ。あの時……、自分の弱さのせいで失ってしまったから。
『彼』は誰なのか? 彼は一体何者なのか? 答えを知っている者は誰もいない……。
罪深き運命の連鎖から解き放たれた今、 彼は何を思うのか……。
誰にもわからない。
【序章】
それはいつも通りの日のことだった。
朝起きて朝食を食べてから、部屋に戻って本を読む。それが毎日の習慣になっている。
そして今日も僕は変わらない日常を過ごしていくはずだった……のだが、その日はいつもと違った。
「あぁ~暇だ……」
僕の名前は佐藤健斗高校2年生だ。
学校が終わって放課後になり帰ろうと思ったら雨が降ってきた。天気予報では晴れと言っていたのに見事に外れたのだ。
「傘持って来てないし濡れて帰るしかないよな」
そんな事を考えていると突然声をかけられた。
「あのぉ……良かったら一緒に帰りません?」
僕に声をかけてきたのは同じクラスの高梨沙耶香さんだった。