少しだけ虐めの内容を含みます。地雷の方は見ないでください。
2 甘い香り
2-1 開花し、思い出す
2-2 実った実
2-3 熟されたこと
2-1 開花し、思い出す
クラス換えの時も運良く同じクラス。班も同じ。席も近いから本当に恵まれていると思う。花がそれぞれ堂々と咲いてきたころ、友達がこんな話をした。「気を付けてね?少数派はただでさえ虐められやすいのに君みたいに優しい子は嫉妬されやすいんだよぉ!大きくなって虐めになったりしたら困るもんね!私にすぐ相談してね?経験したことあるから色々のるよ!遠慮しないでね?私も遠慮せず相談したいからさぁ」何故このタイミング?不思議だ。こんな暇な時間に明るい友達が言う?いくら虐め経験者でもそんなことなくない?じゃあ、一体、何が?
あ、もしかして
前の春の今ぐらい。虐められていた。友達ができはじめたころ。友達がいないことろでこっそりと。家庭科が全体的に苦手でなんにも出来なかった。できたのはあらいものぐらい。縫い物は糸通しからほぼ全部出来ない。だからそれを理由に。家庭科班の一部から虐められてた。だけど、何故か突然止んだ。それどころか謝りに来てくれた。泣きながら。『あんなことしてごめんなさい、お願いします許してください、あんなことして本当だったら許されるとは思ってません、だけど、今回はお願いします、見逃してください、すみませんでした』って。不思議だった。なんでこんな急にって。結局許した。友達になった訳じゃない。だけど楽になった。
もしかしたら、友達が懲らしめたのかもしれない。友達はそれが悔しくて、気付けなかった自分が悔しくて、そんな自分が嫌で、こんなことを?優しい。嬉しい。また一つ、心が満たされる。星空に、まだ足りなかったもの。群青色と青色と、黒色の、宇宙が。
2-2 実った実
幼稚園だったころ。植えられた柿の木。実ると、園児が落ちている実を持って帰ったり、洗って食べたり、いじったりしていた。
苦手だったから食べなかった。ぐしゃぐしゃしているところが苦手。柿投げ合戦があって実っているときは、とても外で遊べなかった。外から帰ってきたときはみーんなオレンジ色になっていた。先生たちは、「外行く人は着替えて」って、もう季節関係なくいつも呼び掛けている。帰ってきたころにはオレンジ色になっている。ここの園児はおかしな遊びが好きだ。木の実さえなかったら、まだましだったかもしれないけれど。何故なら、柿合戦だけでなく、どんぐり合戦もするから。他にもどんぐりの中にいる幼虫が好きだから袋に入れて机に出している。嫌いな方からしたらゾッとする。そういうこともあって先生たちは目が死んでいる。園児たちは目を輝かせている。
2-3 熟されたこと
友達視点
今までで努力したことはどんなことですか?道徳の授業。先生がいったこと。
ある。いつだった?幼稚園のころだったっけ。
幼稚園のころ。友達と算数の勉強中。受験に向けて、頑張る。頑張る。憧れの学校がある。切り替えが早くて、授業中は優しく、真面目に。時に面白く。そんな学校は虐められていた私にとって、一番行きたかった学校。一人になってしまっただけ、わからないところは聞けないから、自分で調べる。たくさん練習して、解いて、合格できるように。家でも、たくさん練習した。虐められたって、頑張る。
あの学校に見学しに行った。そのとき、一緒に遊んでくれた6年生。とても嬉しい。それ以外の学年は、他の予定があって遊べなかったけど。あれだけ年が離れているのに。みんな強かった。手加減はしていなかった。本気を出してた。でも、それが嬉しかった。手加減なしで正々堂々とやってくれることが楽しかった。
だから入りたい。6年生は来年いないことはわかっている。だけど、あんな人になりたいから。
『努力は実る』いつか聞いた言葉を信じて。
結果。全部0点。高熱が出て、席が止まらなくて、休んでしまったから。絶対に行きたかった。でも、無理だった。お母さんに止められて、病院に行ったりして、結果無理だった。用紙を見た。全部わかった。なのに。もどかしかった。「あんなに練習してたのに一つも出来なかったんだ~w」「かわいそうにw頭が真っ白になったのかな?それとも勉強不足かな?」「居眠りでもしたんじゃない?」
はははと言う馬鹿にする声。休んでしまっただけなのに。悪い風に言われる。
batエンドで終わる。そんな悲しいことは、無いって信じたかった。
でも、結果、batエンドだった。無駄になっただけだった。夢じゃなかった。胸に刺さる言葉は何よりも鋭い凶器だった。あぁ、きっとあんないい学校に通う事こそ夢だったんだ。
そう思ったのは、ただの勘違いだった。
「私一人だから遊んで!」無意識に言っていた。孤独が嫌になったのか、無意識に。「ごめん、間違えた」そう言おうとしたとき、「いいよ。何で遊ぶ?」そう答えた声が聞こえた。嬉しくて仕方なかった。
努力は無駄になった。虐めを我慢して、時間をたくさんつぎ込んだ。それでも、風邪には勝てなかった。
だけど、この学校もいいと思う。
むしろ、この学校にこれて良かった。
一人の友達という、優しくて暖かい明るい家族よりもずっといい、唯一の私の居場所になったから。
私は幸運に恵まれている。
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