渡辺side
最近は仕事に少しずつ慣れてけたものの、どうしても気になることがある。
──阿部亮平。
阿部と話していると、不思議と心が落ち着く。
俺が記憶喪失になってしまい阿部との思い出は消えてしまった。それなのに阿部は俺のことを優しく接してくれる。
彼が語る”昔の俺たち”の話。
仲が良かった。
よく一緒に遊んだ。
いつだって一緒。
まるで、俺にとって大切な人だったような──
家族や友達に阿部のことを聞いても、誰もが仲が良かったと言う。
だけど、何も思い出せない。
💙「……思い出したい」
休日、俺は実家に帰った。
大学に入ってからほとんど帰っていなかったけど、どうしても確かめたかった。
──昔の記憶を。
♡「翔太?急にどうしたの?」
母が驚いたように声をかける。
💙「ごめんママ、なんの連絡もなしに帰ってきて。ちょっと、昔のアルバムとか見たくて」
そう言うと、母は少し考えてから押し入れを開けた。
♡「たしか、ことあたりに……あった」
渡されたアルバムを手に取る。
ページをめくると、懐かしい背景が広がった。
中学時代。
高校時代。
文化祭、体育祭、修学旅行。
💙「……あ」
ふと、見覚えのある顔が目に入る。
俺の隣で笑っている男の子。
今より髪は長めで、変わっていない顔立ち。
💙「阿部…?」
指先が震えた。
阿部と、俺。
写真の中では、当たり前のように隣にいた。
笑い合い、肩を並べて。
💙「……なんで、思い出せないんだろ」
何かが引っかかる。
思い出せそうで、思い出せない。
まるで、霧がかかったみたいに。
必死に記憶を掘り起こそうとした、その時
ズキッ!!
💙「……っ!」
突然、頭に鋭い痛みが走った。
思わず額を押さえて、膝をつく。
心臓が早鐘のように打ち、息が詰まる。
何か、大切なことを忘れている。
思い出さなきゃいけない。
でも──
♡「翔太?」
母の声が遠く聞こえる。
けど、俺はただ、その場にうずくまることしかできなかった。
コメント
6件
翔太のお母様のハートを変えさせていただきました🙇♀️ 分からなくしてしまいすみません💦
母…まさかの❤️😳😳😳