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あらすじ
人間は燃料探索のため、酸素に満ちた惑星〈奏樹〉へ生身で降り立つ。
巨大な樹の根には高効率の燃料源が眠っており、任務は伐採と焼却による採取だった。
調査の途中、人間はカラスに似た生物を目撃する。
ただの野生生物だと思われていたその存在は、次第に規則的な行動や意思を示し、異様な理解力を見せ始める。
通訳として投入された知性体〈パーフェクトイルカ〉を介し、人間は彼らが高度な知性を持つ種族〈ハネラ〉であることを知る。
ハネラにとって樹は、生活であり、記憶であり、社会そのものだった。
人間の行う伐採と、未知の光による焼却は、世界を殺す行為に等しい。
一方、人間にとってそれは正当な任務であり、生存圏を支えるための合理的な選択だった。
人間の一人は、歌を使わず身振りと光で意思を伝えるハネラの個体シエナと交流を深める。
言葉を越えたやり取りの中で、人間は伐採を止めようとするが、任務と集団の判断は変えられない。
やがて対立が決定的になる中、パーフェクトイルカは翻訳を停止し、沈黙を選ぶ。
思想は語られず、ただ行動だけが残される。
互いを理解したまま、合意には至らず、
人間は樹を失わせ、ハネラは人間を止められなかった。
これは、敵対の物語ではない。
正しさが衝突し、プロトコルだけが破綻した記録である。