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第1話「兵の名前」
灰色の朝靄が戦闘訓練場を包み込む中、黒瀬セツナは緊張で握りしめた拳を見つめていた。
周囲からの視線は冷たく、彼を新入りのモブだと軽んじているのがひしひしと伝わる。
「おい、そこの新入り。名前は?」
鋭い声が訓練場に響いた。黒づくめの男、ゾム。
特殊部隊の隊長であり、その眼光は冷徹だ。
「黒瀬セツナです!」
「ふーん。覚えねえな。どうせすぐ消えるんだろ?」
嗤う声に、セツナの胸は締めつけられる。
だが、反射的に振り下ろされた木刀をなんとか受け流し、彼は自分の存在を示した。
「……反応は悪くないな」
ゾムの言葉にわずかな温度を感じ、セツナは呟いた。
「俺はここで、生き残る」
⸻
訓練は地獄そのものだった。
銃声が飛び交い、怒号が戦場のように響く。
セツナは震える手で銃を握り締め、何度も倒れそうになりながらも前へ進む。
「黒瀬! じっとしてんじゃねえ!撃て!」
シャオロンの声が飛び、焦りが増す。
誰も彼を気に留めなかった。だがゾムだけは違った。
「死ぬ気でくらいつくやつは、案外生き残る」
その言葉が、セツナの胸に深く刻まれた。
⸻
夜。疲労で体が重く、倉庫裏で独り座るセツナの前に、無言でおにぎりを差し出す男が現れた。
トントン。幹部の中でも異色の存在だ。
「別に心配してるわけじゃないけど、飯くらいは食っとけ」
言葉は無骨だが、その眼差しはどこか暖かい。
「ありがとうございます」
「ゾムも言ってた。悪くないってな。まあ、あいつも見る目あるんだ」
背を向けて歩き出すトントンが、ふと振り返った。
「そうそう、俺は“トンチ”じゃなくて“トントン”だからな」
セツナは小さく笑った。
⸻
倉庫を出ようとした時、黒いコートの男が立ちはだかった。
「お前、名前なんだっけ?」
鬱先生。情報部隊の幹部。
「黒瀬セツナです」
「ふーん。じゃあ忘れんなよ。トントンが怒るぞ」
「……トントンさんです」
鬱先生は微かに笑いながら言った。
「“大先生”って呼ばれたくなかったら、ちゃんと言い返せよ。じゃあな」
冷たくもどこか優しい背中を見送った。
⸻
遠くの監視カメラ越し、男が冷ややかに笑った。
「へぇ……面白い子だな。名前、もう一度確認してくれる?」
ショッピ。情報部隊の幹部であり、謎多き存在だった。
更新が早いのは書きだめしてるからです
よろしくお願いします
普通にテンション⤴︎⤴︎です
仲良くしてねええぇぇえええええ