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ロバート・クライヴは
戦艦10隻からなる大艦隊を組織すると
民衆に神格化されつつあるラクシュミー・バーイーと
ここ数か月煮え湯を飲まされ続けたバロン・カルドを
葬れると意気込んだ
沿岸から右翼左翼とも展開すると
上陸して陣を張った。
空は嵐を運んでくることを告げていた
「親分、こりゃひどい嵐ですぜ」
「やったな、勝ったな、これで」
「どういう神経してりゃそんなポジティブになれるんです?」
「船沈んじまうかもしれませんで」
「この前、海の女神にプロポーズしたんだよ」
「ありゃ俺に気があるな」
「……なんでそう思えるんです?」
カルドは空を見上げた。
「嵐の日に敵が囲もうとしてるんだ、うそみたい、神のご加護だろ」
「結婚式呼ぶよ、海の中だけど」
土砂降りの中、カルド艦隊も出港した
「あなたの大将っていつもあんな感じなの?」
前の嵐の海を見ながら
ミヤーゴ城を無血入城したラクシュミーはクスっと笑った。
ククルースは
「ええ、まあ」と答えながら
ここにきて初めてだなたぶん
この人が笑ったの
とラクシュミーの顔を覗き込んだ
(うちの親分はやっぱすげえな、でもなんでもてないのだろう)
本気で考えた
ケロン様到着しました。
「おう、来たか」
カルドは裏手に上陸すると
船を返し、山に登り森に到達した
嵐がやみ、日が昇り始めた。
カルドは低く言った。
「……始まるぞ」
その瞬間――
嵐がやみ、一夜明けると狭い湾内にひしめいていた
艦隊は洋上から攻撃に火の手が上がる
ラクシュミーもうって出て
クライヴ軍は初っ端から混乱の朝を迎えていた
命令は届かず、隊列は崩れた。
味方の船同士がぶつかり、怒号が飛び交う。
兵は我先に浜へと押し寄せたが、
船は嵐の余波で動かない。
兵は1人また1人と討たれていった
「このままでは脱出は不可能です。
お逃げください、スーラトまで逃げれば
船があるかもしれません」
「これは……」
クライヴは初めて理解した。
「囲まれているのは……我々か」
馬に飛び乗り、逃げ出す。
その背を、ラクシュミーが追った。
クライヴの顔が恐怖でゆがむ
――一閃。
首が飛んだ。
クライヴの首が転がる
#追放
今までの思いがあふれ
ラクシュミーはその場にひざまずき泣いた
討たれたものも多かったが
逃げ場のない砂浜に観念したのか
クレイヴ軍の多くは降伏した
後年、カルドはこの戦いを振り返り、笑いながらこう語った。
「ありゃあ、戦闘なんてほとんどなかったよ。
ラクシュミーにいいとこ全部持ってかれちまった」
「たしか勲章だか名誉何とかだかもらった気はするけどさ、
どこにしまったかも覚えてねえな」
少し間を置いて、カルドは肩をすくめる。
「俺がやったことなんて、大したもんじゃねえよ」
「でもな――」
「この日を境に、東エンドア会社は軍事的に崩壊したんだ」
東エンドア会社が、
軍事部門の総責任者と主力艦隊の大半を失ったという報せは、
瞬く間にエンドア全土を駆け巡った。
セポイの離脱、脱走、反乱はさらに加速し、
各地の港湾で起きる暴動を鎮圧できるだけの軍事力は、
もはや会社には残されていなかった。
反乱の主導権は、やがてマラヤー王国同盟へと移っていく。
だが、ここで大きな変事が起きる。
デラーで戦っていた反乱軍が敗北し、
皇帝は降伏を口にしたのだ。
これに猛反発したバフト・ハーンは皇帝と対立し、
ついには決裂する。
袂を分かったバフト・ハーンは、
マラヤー王国同盟への合流を決断した。
もともと皇帝は、
この反乱そのものに勝ち目は薄いと見ており、
積極的ではなかった。
その皇帝が降伏を選んだことで、
イヴァール帝国はついに滅亡した。
しかし、それでも火は消えなかった。
むしろ反乱軍の勢いは増す一方だった。
ラクシュミーとトーペーはジャンシーへ。
バフト・ハーンはデラーへ進軍する。
こうして戦いの舞台は海から内陸へと移り、
反乱は新たな局面に入った。
港は、戦いの前と変わらぬ顔をしていた。
だがその内側では、すべてが入れ替わりつつあった。
ナーナー王やトーペー、バフト・ハーンらは、
ひっきりなしに出入りを繰り返し、
各地の反乱軍との連絡に追われている。
カルドはナーナー王の要請を受け、
降伏した港へ次々と商会の人員を派遣していた。
カルド商会は現地人を雇い入れ、
気づけば交易は急速に拡大していた。
――戦争の裏で、すでに“次の支配”が始まっていた。
そんな折だった。
東エンドア会社の重鎮、
ジョブ・チャーノック
が、本国政府の役人を伴って港に現れた。
目的は一つ――
戦いを終わらせること。
チャーノックは役人たちを下がらせると、
ナーナー王に向き直り、静かに言った。
「カルド男爵と、2人きりで話がしたい」
室内に残ったのは、二人だけだった。
「本国政府は、この反乱のすべての責任を
東エンドア会社に押し付けるつもりだ」
チャーノックは、低く言った。
「我々からすべてを奪い、切り捨てる気だ」
一瞬の沈黙。
そして――
「助けてくれ、バロン・カルド」
カルドは鼻で笑う。
「どうやって。無理だろ」
「反乱軍は、君の言うことなら聞く。違うか?」
「……さあな」
「反乱を収めてくれれば、いくらでも出す。
権利でも、金でも――すべてだ」
カルドは即答した。
「だめだ。もうその段階は過ぎてる」
「本国に送還されて処刑されろ」
「もう決まっているんだろ」
チャーノックは苦笑した。
「同じエスカミオ人じゃないか。
あまりひどいことを言わないでくれ」
改めて設けられた正式な会談で、
ナーナー王は静かに口を開いた。
そして、条件を提示する。