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瀬名 紫陽花
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家に入ると、すぐわかった。
川俣先輩が料理をした痕跡が、空気中に漂っている。
川俣先輩はスパイス大好きだ。
しかも実家から大量に送って貰っている。
今回の合宿でも、これでもかという位に持ち込んだらしい。
「スープと蒸し魚だけ作ったから、刺身その他は頑張って作れ」
と言うことで。
未亜さんがメバルとフエフキダイを焼き霜造りなんて器用に仕上げ、
僕は保存していたしめ鯖と漬けかつおの残りを切って、
美洋さんと彩香さんでサバの干物2枚を焼いて、
夕食が完成だ。
なお、食事の対抗戦は昨日夕食の豊漁以来、消え去った。
これだけ余裕をもって材料が揃うのだ。
対抗戦の必要はもう無い。
そんな訳で、食卓にはうちの急ごしらえメニュー以外にも色々並んでいる。
ただ目につくのは、明らかに川俣先輩が作った一群の料理。
スパイスソースがかかったアジとか、
インドカレーに出てきそうなロティとか、
もう香りからしてエスニックなスープとか。
なお、ロティに合わせて食べる用なのだろうか。
シーチキンマヨみたいなのとか、見た目はサバ味噌煮だが、明らかに香りが違うものとか。
そんな数品が小皿でスタンバイしている。
「いただきます」
まずは自分用しめサバをご飯で食べる。
うん、美味しい。美味しいけれど……
どうしても川俣先輩の作った色々が気になる。
ただ、既に我先にという感じで手が伸びていて、僕や男子先輩2人は手が出ない。
ようやく落ち着いたところで、まずはロティとシーチキンマヨ風を……。
うむうむ。
味はきっと、サンドイッチのツナマヨの延長線上。
だけれど、延長線のかなり先〜の方の味だ。
何か清涼感ある香りも、ふっとする。
これは……表現は難しいけれど、美味しい。
スープの方も、そしてアジも。
空いたところですかさずキープ。
「これは、やられたのです。想像外の味なのです」
佳奈美先輩の声が聞こえる。