◆ 12話 ゲーム3社
夕方のカフェ。
大学生の 三森りく(24) は、
薄灰のパーカーに緑のインナー、
額には水色寄りのMINAMO“ミナ坊”。
テーブルの上にはノートとコーヒー。
対面には、
杉野いまり(20)。
黄緑のトップスに灰スカートで、
淡い緑フレームのMINAMOが髪に柔らかく馴染んでいる。
「ねえ、りくくん。
ゲーム3社、ついに“メガネ型”出そろったんだって。」
「見た見た。
ARメガネの影響、完全に業界まで来たよな。」
りくの視界右端に、ニュースが展開される。
三社の新製品が映し出された。
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◆ SONY:高性能メイン機 × 無線メガネ
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ソニーのPSのモデルは…
墨染めの落ち着いたツル を持つ無線メガネ。
ゲームの主処理は背後の“高性能メイン機”が担当し、
メガネはあくまで表示・追従に特化。
ツルは太めで、
内側に微小センサーがぎっしり。
視界の立体描画は圧倒的で、
PC級の表現力が街中で再現される。
いまりは笑った。
「スペック好きの先輩たち、絶対これ買うよね。」
「でも値段がやばいんだよ……」
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◆ steam:ツル部分に本体を搭載
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steamのモデルは
緑ラインが走る太いツル に本体を丸ごと内蔵。
いわば
“携帯できるゲーミングPCを顔に乗せる”
という豪快な発想。
性能は桁違いだが──
りくの耳元に排熱説明が表示される。
『注意:排熱音が少し大きい可能性があります』
「これ絶対うるさいやつじゃん……」
いまりは吹き出す。
「でも、“顔にPC乗っけてゲームする時代”って
なんかネタとして強いよね。」
「ミナ坊も言うけど、排熱はもうちょっと頑張れって感じ。」
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◆ 任天堂:細い、軽い、日常に溶ける
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最後に映るのは任天堂。
水色・緑・黄緑の“柔らかい調合の色”で作られ、
ツルは極端に細い。
子どもでも大人でも似合う、
優しいミニマルデザイン。
しかも、
ゲーム専用とは思えないほど普通のメガネで、
生活に完全に溶け込む。
ツルの内側には
“触覚ライン” が走り、
指で軽く触れるだけで
ゲーム内の操作ができる仕組み。
任天堂らしく、
凝った見た目より“遊び心と軽さ”を優先していた。
いまりが感心して言う。
「任天堂ってやっぱり“日常に遊びを置く”のがうまいよね。
普通のメガネとしても人気出そう。」
「IPも強いし、軽いし……
正直、一番使いやすそうなんだよな。」
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ニュースの締めには、
こんなコメントが流れた。
『ARの普及により、
ゲーム機は“画面を捨てた”。
どの会社も、
それぞれの強みを生かした“ど真ん中”を突き進んでいる。』
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りくはコーヒーを飲みながら言う。
「結局さ、
任天堂は“遊びのための優しさ”、
ソニーは“性能の極み”、
steamは“王道の自由度”って感じだよな。」
いまりは頷く。
「メガネの時代って、
デザインの勝負でもあり、
生活に溶けていけるかの勝負でもあるんだね。」
りくがふと自分のMINAMOを見る。
水色寄りの細いフレームが、
この未来らしさを象徴しているように思えた。
ミナ坊がそっと文字を出す。
『りく、私はゲーム機ではありませんが……
一緒に遊ぶことはできます。』
「かわいいこと言うじゃん。」
二人の笑い声が、
カフェの柔らかい光の中に溶けていった。
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