「そうですね……ではまず私の事から話しましょう。私はナイトメア。蛇一族の幻術使いです。昨日貴方にお会いした時少しばかり幻術を掛けさせて頂きました」
「幻術を掛けたのは分かったがあれはなんなんだ?僕の過去だなんてほざくんじゃねぇぞ?」
未だ風夜の手から伸びる瘴気はナイトメアをがっちり固定しているもののナイトメア本人はと言うと動じる様子もない。
「貴方……口悪くなってません?」
少し口調が荒くなってきた風夜に微かに引き気味なナイトメア。しかし風夜は微塵も気にせず続ける。
「もうお前が答えるのはそれだけで良いんだ。さっさと答えやがれ」
「……ふぅ……話では信じてくれないようですね。こうなったら無理矢理思い知らせる他無さそうですね」
ナイトメアはそっと風夜に近づく。鼻先がくっつくほどまで近付くと流石に風夜も動揺したのか手から伸びる瘴気が消えた。それと同時にナイトメアは風夜の背に手を添え目を覆う。そして甘い声で囁く。
「今貴方に“記憶”を返して差し上げましょう」
「あっ……あ、あ”あ”あ”あ”あ”っ!?」
何か不快なものが浸透していく不快感に顔を歪め絶叫してしまった。しばらくするとふっと意識が遠くなり次の瞬間には意識は黒に塗りつぶされていた。
数時間後。
「やっと目が覚めましたか」
「うるせぇ」
目が覚めた風夜にナイトメアが声をかけるも開口一番に放たれたのは暴言。
「”相変わらず”口が悪いですね」
「今更だろ。だいたい”俺”の本性はこっちな訳だし」
「そうでしたね“アンノウン”」
「チッ……ったくなんで俺の記憶奪ってまであんな事させたんだ?」
「……なんでかと言えば貴方の事を考えて、ですよ?貴方あのままヘビの国にいても延々と蔑まれるだけだったのは分かるでしょう?」
「だとしても記憶奪う必要あったか?」
風夜____アンノウンは顔を顰める。
「……そうですね……記憶残したままでも特に不便な事は無かったのですが、記憶も無く蛇一族とも知られずに暮らした方が貴方としても幸せだったでしょう?」
「……そうだな……あいつら、もし俺が蛇一族の血を引いているって知ったら、蔑んでいたのかもしれないしな……」
アンノウンは黙考する。確かにナイトメアは許せない相手だ。しかし同時にアンノウンのためを考えて色々と手を回してくれた相手でもある。閉じ込められているアンノウンに勉強を教えたり、蛇の国や近隣諸国であったと言う面白い話を聞かせてくれたりもした。
「アンノウン、もうすまないスクールのメンバーとは友好関係を築けましたよね?」
「そうだな」
「では……」
ナイトメアはアンノウンの目を手で覆う。
「……っ……」
アンノウンの真っ赤だった瞳が左眼だけ紫色に変わり、右眼からも光が失われた。
「命令です、アンノウン……
____すまないスクールを滅ぼしなさい」
コメント
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はぁ?ふざけんなよ?風夜さん。ソイツの命令は聞いちゃ駄目だ!!すまない先生達は風夜さんに酷いことすると思う!?ふざけるな。ナイトメアの言う事を聞くと苦しくなる一方だぞ!!風夜さんはアンノウンでも私は好きだ!!だって風夜さんは風夜さんなんだからな!!アンノウンだろうかなんだ!!ヘビ一族の血を引いてるからなんだ!!そんなもんどうでもいい!!私は風夜さんと!!アンノウンと!!一緒にいたいだけだ!!