好きなのに好きと言わなくなったのは、いつの頃からだろう…
付き合いたての頃は、“好きだよ”“愛してる”なんて恥ずかしげもなく言えてたのに、それから何年も経ってお互い言わなくなったのは、決して当たり前だと思ってる訳じゃなくて、お互いきっと、分かりきってる事を敢えて口に出すのがなんだか恥ずかしいと思っていたから。
よく涼ちゃんに二人は熟年の夫婦みたいだね、なんて言われてたけど、大体の事は阿吽の呼吸で伝わるし、本当にそうだったと思う。
だからお互い付き合った頃と変わらず…いや、むしろそれ以上に愛情深くなっているのは分かっているのだけど、やっぱりたまには口に出して言うべきだったと思うんだ。
だって時間は有限なのだから。
今日はいつものトマトパスタじゃなくて、君の好きなたらこパスタを作ったんだ。
だからね、久しぶりに言ってもいいかな…
「大好きだよ。」
ああ、もっと好きだと伝えれば良かった。
ああ、もっと愛してると囁けば良かった。
後悔しても、もう遅いのに。
だって、時間は有限なのだから。
君が急にこの世を去ってから、もう1年が経ったらしいよ。
ぼくの時間はあの日から全然進んでくれなくて、今だって、このたらこパスタを美味しいって頬張る君の姿が見える気がする。
でもね、やっぱり姿のない君に想いを伝えるのはひどく寂しくて苦しいから、君への想いに蓋をして、そろそろぼくも前に進もうと思う。
あ、だからと言って、 決して君を忘れる訳ではないから安心して。
1年に1度くらいは、
たらこパスタを作って、
閉じた蓋を少しだけ開いて、
“大好き”だと
ちゃんと声に出して伝えるから。
じゃないと、いつか其方へ行った時に、拗ねられても困っちゃうし。
君って意外と子供っぽい所があるしね。
「ずっと、大好きだよ。」
それじゃあ、また1年後に。
コメント
7件
きゃー!!!(爆死) ごめんなさい! 今日涼ちゃんのハピバ記念のお話ばかり読んで最後に急いで読んだものだから、ごめんなさい!🙇♀
ストーリー切なめだけど最高です🫶💕