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第16話、読み終わりました…!💧💧💧 ルティがシズクに抱きついたまま話す構図、もう胸が苦しかったです。お互いに「この関係が歪だと知っていても離れたくない」って思ってたんだなって……そのすれ違いと、それでも向き合おうとする強さに泣けました。特に「ブリジットとしては許せそうにないけど、春夏秋冬雫である私は許す」って台詞、めちゃくちゃ重くて好きです。最後の「あの時の雨は温かかった」はルティの涙だったのかな…🌙
(私がベッドに座って、ルティ様がソファに座れば無問題では?)
バタン、と部屋の扉がしまった途端、後ろからルティが抱きつく。
いつもと違って腰に手を回してガッチリホールドしてきた。これだと顔を見て話せない。
「ルティ? 顔を見て話したいのですが?」
「……シズクが彼女の生まれ変わりだというのは、最初から気づいていました。気づいていて、黙っていたのです」
「(これは……このまま話すつもりね……)うん、気づかれている感じはあった……かな。どうして黙っていたの?」
私の場合は、またブリジットのように拘束あるいは、道具として使われるかもしれないと警戒していたからだ。でもルティ側としたらどうなのだろう。
「……最初は過去のことも全て話して、謝罪するつもりでした。でも……私と目が合った時に殺意とか敵意がなくて、前世の記憶があるのかも分かりませんでした。もし記憶が曖昧、あるいは思い出していないのなら、大人になるまでは傍に居られるのでは──と。すみません」
「あ」
そうだった。出会った時、私は六歳の姿だった。大人ならまだしも、幼い子どもに過去の説明をしても余計混乱させてしまう。だから大人にまるで待つと条件を付けて保護してくれた。
私が最初に怖がって逃げたのだ。ルティと向き合うのを怖がった結果が、あの再会に繋がる。
「ルティ」
「私に笑顔を向けてくれて、一緒に暮らしてくれて、たくさん話をして……異性として見てくれているシズクが好きで、好きで……引き返せませんでした。この関係が歪で、おかしいって分かっていても、もう少し、このまま……そう思っていた。私には……そんな資格ないのに……」
「同じ」
「……え」
「私も……。このままの関係は、いつか終わるって思っていた。でも……私も勇気が出なくて……ルティに、嫌われたくないって思ったら、どうすればいいのか分からなかった。前世の記憶を持っているって気付かれたら、また前みたいに、生贄に……戻るかもしれないって思ったら……それは嫌だって……。大人の姿に戻って、恋人らしい関係になっても、伴侶になったら今までみたいに、隣でご飯を作ったり……外を一緒に歩いたり……できなくなるかもって……」
だから保険としてお金を貯めて、独り立ちすることも考えていた。復讐する気はもうない。三百年以上、苦しみ続けたルティをこれ以上、傷つけたくない。
ルティの目的が分からなかったから、警戒もしていたし、距離をとっていたのに一緒に生活している間に、その線引きが曖昧になって向き合いたいのに、まだ勇気が足りなかった。
「ブリジット、前世の私は……、心がもたなかった。一人で生きていく術も、頼れる人も、王女という責務からも逃げられなくて、悪意と敵意だけ。何も知らないまま……。《片翼》という魔力消費と子を得るための道具で、生贄だと思っていて、少しずつ壊れていくしかなかった……」
「…………っ、気付かなく、守れなくてすみません」
「でも、ヴィクトルも私と同じで、周囲に唆されていた。同族の言葉なら信じたくなる気持ちも分かるから」
#恋愛
#長編
ヴィクトルは《片翼》だったことに浮かれて、嬉しすぎて、私との認識が大きくズレていることに気付かなかった。いや余裕がなかった。
それを利用していた人たちがいただけ──。
「誤解していたとはいってもブリジットとしては、たぶん許せそうにないと思う」
「当然です。それだけのことをしましたから」
「でも……私を本当に殺そうと企んだのは、ヴィクトルじゃないから、春夏秋冬雫である私は許すよ」
それが私の出した結論だ。
「──っ」
「私はルティが好きだから、私が貴方のことを好きな気持ちぐらいは──ブリジットも黙認してくると思う。あ、えっと、伴侶になっても、今までと同じくらい大切にしてくれることが条件だけれど!」
「シズク」
「だって今世の私の目標は、幸せになることだから。私の幸せにルティがいないと困る……ことになってしまったもの」
「シズク……っ」
それからはもうお互いに泣いて、ルティはひたすら謝罪をして、小さな子供のように泣き疲れて眠った。ベッドに横になって手を繋いだまま、疲労感で瞼を閉じた。微睡みの中で、ブリジットの死の間際のことをふと思い出す。
あの時に頬に落ちてきた雨は、温かかった。
あれは本当の雨ではなくて、あれは──。