テラーノベル
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家に帰って、夕方まで色々な作戦を考えた。
香織達が来る前を狙って匿名で消防か警察に通報する方法が安全と考えたが、香織達のことなので警察官と消防士を殺すことまで考えるだろう。
警察側に能力者がいてくれるかどうかすら定かではない。
情報が少なすぎる。
「そもそも火炎に水なんて単純な対策が聞くわけない…何もないところから火を生み出せるなら消しても消しても燃やされる…」
突然の人体異常について考察は色々あっても最終的な結論は誰も知らない。
私の目を使って阻止が可能な人間を探そうとも思ったが、悠真のミラーがある以上協力者は危険に晒せられない。
あの3人の弱点さえ分かれば…。
そう考えた瞬間にまた目に異変が起きた。
突然の激痛に思わず声が出る。
「ギャッ!!!!」
3秒ほど痛みが続いたのち、落ち着いた。
母が心配してこちらの様子を見に来てくれたので目のことには触れず、タンスに小指をぶつけたとだけ伝えた。
この痛みは一体何なのか。
能力を読む力が発現した時に起きた痛みと同じため、目の力に何かしらの変化があったと考えた。
それを知るためには能力者を探してその人を視認するしかない。
夜までまだ少し時間がある。
外に出て能力者を探そう。
「お母さん、少しだけ外出てくるね」
「そうなの?行ってきてもいいんだけど、お父さんに怒られない程度にしてきてね」
「いってきます」
いや、無理だ。
父は
能力者に会うだけなら同級生の多いカフェやゲームセンターに行けばいい。
カフェには愛菜や香織がいるかもしれないし、ゲームセンターには悠真や叶太がいるかもしれない。
まずはカフェに向かう。
通行人で能力者は1人しか確認できなかった。
その1人も危険な力ではなく、『対話』という能力で、しかも自覚はないように見えた。
無理もない。
乳児だったのだから。
ただ、『対話』のほかに『他人種のほか生物との対話が可能』
と書いていた。
情報が増えた。
カフェへ向かう。
平日の放課後なため学生が多く、少し混雑していた。
しかしそこでも能力者は1人、大学生の男性だった。
『光合成』という能力であった。
『二酸化炭素を利用することで栄養を作り、治癒をする』と書いていた。
次はゲームセンター。
ゲームセンターはかなり空いていて能力者は見つからなかった。
帰り道に通行人とカフェで見つけた能力者で気づいたことは、能力名だけでなくどういう能力かまでがわかったということ。
そこで私はある策に出た。
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日が沈み、もう辺りは暗くなった頃、私は真弥の家の近くの公園に隠れていた。
真弥の家に行くにはその公園を通り過ぎなければいけない。
香織達が来たら確実に視認できる。
私は低木のそばで香織達を待っていた。
本当は真弥の家に訪問したかったが、真弥はきっと今は誰にも会いたくないんじゃないかと思い、やめた。
どういう能力か見えるということは、それを利用すればだいたいの弱点が分かると言うこと。
ただし私が見ていることがバレてしまえば一巻の終わりである。
そうこうしているうちに、聞き覚えある声が近づいてくる。
羽海汐遠
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自転車和尚
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天楽°
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#塩レモン
comi
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香織だ。
もちろん悠真と愛菜もいる。
息を潜めて香織達がこちらに近づいてくるのを待つ。
耳をすませば会話の内容が分かるくらいには近づいた。
その時だった。
パキッ
木の枝を踏んでしまった。
悠真がいち早く気づく。
「なぁ、誰かいるんじゃねぇか」
「そんなわけない、あれだけ脅して来るやつなんていないわよ」
「余程の怖いもの知らずだね」
全身から汗が出る。
体が震えてしまう。
それを我慢するために下唇をきつく噛んだ。
愛菜が口を開く。
「見てみる?」
近づいてくる音がする。
まずい、もうダメだと思った時だった。
「ニャァー」
近くにいた白猫が鳴いた。
「なんだよ、猫かよ」
「悠真がビビりすぎなんじゃない?」
そういってまた真弥の家に近づいて行った。
私の前を通り過ぎた時、私は3人の死角を取って背後を見た。
文字が浮かぶ。
『火炎』『視認している目標の有機物に着火する』
『ミラー』『受けた能力攻撃を跳ね返す』
『治癒』『触れた人間の外傷を全快させる』
私は見て一瞬動揺した。
強い力だ、通行人やカフェにいた人のような平凡なものじゃない。
少なくとも香織は人を殺せるほどの力だ。
この少ない情報から、弱点をあぶりだせ。
もう時間が無い。
早く、早く。
「…!」
視認していない有機物もしくは無機物であれば、着火はできない。
受ける能力攻撃すらなければ能力を持たない人間と変わらない上、単純な防御ではないから物理攻撃は跳ね返せない。
触れていなければ治せない。
「これなら…」
私は着ていたパーカーのフードを被り、公園から飛び出した。
無機物、物理攻撃、それだけあればどうにかなる。
まずはコンクリートの破片。
その辺に落ちているから大きめの物をいくつかポケットに入れる。
アスファルトは有機物だがコンクリートは無機物だ。
さらに辺りを探す。
ビニール袋を見つける。
次は武器だ。
相手は男の優真だ、単純な力では勝てない。
鉄のバット、鉄パイプ、大きめのスパナ、なんでもいい。
早くしないと真弥の家に着いてしまう。
早く、早く、早く!!!
「ニャァ」
猫が鳴く方を向くと、先程の白猫が崩れたレンガの上で寝転んでいた。
「レンガ…」
レンガは土と砂…高音で焼き上げるから有機物は含まれない!!
「ごめんねっ…!!」
白猫を追い払ってレンガを取る。
しかし、真弥の家の前にもう3人が着いていた。
何かを話し合っている。
愛菜は2人の後ろで携帯を触っている。
最高のチャンス。
私は見つからないように走り、愛菜の後ろを取った。
ビニール袋を被せて、路地の方へ連れていき、自分で解ける程度のきつさで持ち手部分を結んだ。
愛菜の力は決して強くない。
単純な力なら私の方が強い。
ビニール袋を解くには少し時間がいるだろう。
2人は気づいていない。
悠真の後ろに近づく。
「あ…?誰だお前!!」
私に掴みかかった。
腕を強く握られて抵抗ができない。
香織が私に火をつけようとした時に、ポケットに入っていたコンクリートの破片を投げつける。
香織は燃やすことができず顔にコンクリートが当たり、悶えた。
その隙に落ちたレンガを拾い、悠真の頭を叩いて気絶させることができた。
気絶した悠真を何とか掴み、盾にして香織に近づいた。
悠真を視認している以上、私に火は着けられない。
既に疲れて力が抜けそうだったが真弥を守るためと思い、力を振り絞った。
「ひっ…!」
顔に傷を負った香織が怯えている。
闇雲に火をつけようとしたところに悠真を強く押して香織の動きを封じた。
顔がバレない隙にもう一度香織にコンクリートの破片を投げる。
そこで後ろから愛菜の声がした。
「やめてっ!!もう帰るから!!」
それを聞いて一瞬動きが止まってしまった。
香織がコンクリートの破片をこちらに投げ返す。
「くっ…!」
「私の顔に傷付けやがってぇっ!!!!」
悠真を退けることはできていない。
適当に投げたのが当たったようだ。
香織に見られる前に愛菜を突き飛ばした。
「きゃあっ!!!」
足を怪我したようだ。
「おい!何してるんだ!」
近所の人に見つかった。
このシチュエーションでは私が悪者になってしまう。
そこで私は走って逃げた。
「はぁっ…はぁっ…!」
悠真が気絶し、香織も愛菜も傷を負っている。
近所の人にも見られた。
もう家を燃やすどころではないはずだ。
黙って帰ってくれることに賭けて私は逃げた。
帰って父に怒られ、平手打ちをされたがなんとか謝って許してもらった。
コンクリートを投げられた傷が痛いが、両親にバレなくて良かった。
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翌朝、少し早く家を出て真弥の家の様子を見た。
何もされなかったようで安心した。
学校に着いて教室に入ると、やはり香織達は荒れていた。
「なんなのよ!!! 」
悠真はなにも言わないが、凄く怒っていることは確かだ。
春子はその様子を見て嬉しそうだった。
なにせ自分を仲間外れにしたやつらがこっぴどくやり返されているから。
愛菜は2人と違って怯えていた。
「怖かった…..ほんとうにっ…」
「怖がるな。俺達は特別なんだよ。香織と俺2人なら充分愛菜を守れる。昨日のは完全な不意打ちだった。」
「待って…」
香織が弱々しく言った。
「私が投げた石は、当たったはず」
私はドキッとした。
「声が聞こえたのよ、女だった」
そこで香織は私を見た。
「奈緒、あんた前に真弥を庇ってたよね?」
「…」
「あんたなんじゃないの…?昨日私達を襲撃して、放火を止めたの」
悠真も、愛菜も、クラスの皆も私を見る。
「よくも…めちゃくちゃにしてくれたな!!!!」
香織が私の胸ぐらを掴み、右手をかざした。
火をつけるつもりなのだ。
「ぁっ…!」
私は恐怖で目を瞑った。
その時だった。
パチンッ!
「………は…?」
香織の手から出た大きな炎は、私にたどり着く前に止まった。
「やめろよ、能力者はお前らだけじゃないんだよ」
叶太がそこに立っていた。
「テメェ!!」
悠真が掴みかかろうとしてきたところに机をずらし、悠真を転ばせた。
叶太は香織から私を剥がしてくれた。
「あんた…能力者なのね…」
「あぁ、分からないぞ。隠れてるだけでもっといる可能性だってある。外から放たれた量がどれほどのものか分からないからな。」
「え…?」
叶太は何を言っているの?
「チッ…」
「別にここでやってもいいんだぞ、香織。お前にやられた仕打ちをここで返せるなら俺は喜んでやる」
「自信があるみたいね」
「あぁ。だって普通にやったらさっきみたいに止められるぞ」
2人が睨み合ってる時だった。
ピーンポーンパーンポーン
「?」
放送だ。
「あー、あー、聞こえてるかなー?」
知らない男の声。
「あらかじめ言っておくと、この学校の空間は支配した。逃げようとすると僕の仲間に喰われるから、オススメはしない」
「能力者か…?」
悠真が言う。
「今からまぁ、回ってくからさ。ちゃんと会いに行くから待っててね〜」
ピーンポーンパーンポーン
「なに…?」
「今の誰…?」
「怖ぇんだけど…」
教室が混乱状態になり、ある人は叫び、ある人は逃げようとする。
「いやぁあああぁあああ!!!!!」
「誰かぁ゛っ!!助けてくれぇえぇ!!!!」
すると3年生の方と1年生の方から悲鳴が聞こえた。
いや、悲鳴よりも何か、ぐちゃぐちゃとした気持ち悪い音が響いた。
「なんなのこの音っ!!」
「私達も殺されちゃうの!?」
皆が混乱している時、私の耳には足音が聞こえた。
「皆!少し静かにして!」
皆聞くわけはない。
「まずい…何も聞こえなくなった…」
騒がしい教室、なにかのヒントになったかもしれない足音、絶望的だ。
もう嫌になって耳を塞ぎたくなった時、ドアが開いて、うちのクラスの1番叫んでいた女子の体が真っ二つに裂けた。
誰も触れていない。
能力によるものだと直ぐに理解した。
「うるさい…」
端正な顔をした長身の男が入ってくる。
口には血のようなものが着いていた。
スペードのタトゥーのようなものが手のひらに刻まれている。
「ここが1番能力者の反応が多かったみたいです」
姿は見えないが、女性の声がする。
「おぉ〜2人ともどーもどーも」
足音が近づいてくる。
放送の声の主が入ってきた。
全裸の少年であった。
14歳程度の。
この3人、何かがおかしい。
スペードの男は手が6本。
壁から恐ろしい顔が浮び上がった。
口が裂け、目は底なし穴のようだった。
頬にクローバーのタトゥー。
女性の声の主である。
そして少年は、背中から触手が生えている。
そして不気味なのは、胸から腹にかけて口があること。
背中にダイヤのタトゥー。
この3人を見てわかったことは2つ。
1つに、私達が敵う相手ではないこと。
2つに、明らかに人間ではないこと。
「さーて…」
少年が教卓に座り、こう言った。
「とりあえず、能力者以外はいらないね。」
少年の触手が伸び、うねった。
「ばいば〜い」
グチャグチャグチャグチャ!!!!
あっという間の事だった。
少年の触手がクラスの大半を叩き潰したのだ。
「あ…あぁ…」
残ったのは、香織、悠真、愛菜、叶太、内田さん、春子、そして…
私。
「おぉっ、ここは多いねぇ」
少年がウキウキした様子で教卓から降りる。
「さーて、返してもらおっかな」
少年がニヤリと笑って私達を見た。
コメント
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うわっ…第3話、一気に畳みかけてきたね…! まず主人公、香織たち3人の能力を“視認”で解析して、弱点を突いて戦うところがめちゃくちゃ頭良くて痺れた。「視認してないと着火できない」「物理攻撃は跳ね返せない」「触れなきゃ治せない」——その情報だけでコンクリ片とレンガで立ち回るの、賢すぎるでしょ。しかも猫の鳴き声で助かるシーン、緊張感が半端なかった。 そして後半、学校に現れた明らかに人間じゃない3人組…あの触手でクラスの大半が一瞬でやられる展開、本当に息を呑んだ。能力的にもビジュアル的にも、明らかに「上には上がいる」ってタイトル回収してるし、心臓バクバクする。 叶太が能力者として助けに入ったのも熱かったし、香織に疑われてピンチのところでの登場は胸熱だったよ。それでも最後にあの3人の化け物が出てきて、また新たな絶望…続きが気になりすぎる…! 今回も設定と緊張感、文句なしだった。ゲファーさん、本当に面白いです。次話も楽しみにしてます!