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そして、ゆっくりと噛みしめた。
カリッ、と小気味いい音が響いた瞬間
口の中にジューシーな肉汁がじゅわっと溢れ出してくる。
程よい塩加減と、隠し味のニンニクの香ばしい風味が絶妙にマッチしており
市販のものとは比べ物にならないほど優しい味がした。
「……んまっ!すごく美味いよ純一」
「ほんと!?良かったぁ……っ!まだいっぱいあるから、もっと食べて食べて!」
自分の合格点を貰えたことが世界で一番嬉しいというように
弾んだ声で次々と唐揚げを口に運んでくれる純一の姿は、まるで母親に褒められた小さな子どものように純粋だった。
幸せな夜食を終えると、俺は食後の片付けを済ませ
純一のために温かい紅茶を丁寧に淹れてテーブルに置いた。
「純一、いつも本当にありがとうね。俺の体調のこととか、いつもたくさん気にかけてくれて」
「ううん、ぼくね、いっつもりひとさんに助けてもらってばかりだから……少しでもお返ししたかったの!」
「そんなことないって。俺の方こそ純一に救われてるのに」
「そんなことあるよ!りひとさん、いつもおいしい朝ご飯作ってくれるし、ベッドでもたくさん気持ちよくしてくれるもんっ!」
あまりにも恥ずかしげもなく過去の情事を口にする純一に、俺は思わず吹き出してしまった。
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいよ」
「うんっ!だからね、ぼくもりひとさんにいっぱい尽くしたいなって、ずっと思ってて……」
「その気持ちだけで、俺には十分過ぎるくらいだけどね。純一は頑張り屋さんだから、無理だけはしないようにしないとダメだよ?」
優しく諭すように彼の細い指先を包み込むと
純一は一瞬だけ躊躇うように視線を彷徨わせた後、意を決したように俺の目を真っ直ぐに見つめてきた。
「……うん。でもねっ、りひとさんのこと、もっともっと癒してあげたくて!」
「もっと?」
「その……『ふぇら』? っていうの、ぼく、りひとさんにやってみたいの…」
突然の、あまりにも予想外な単語の飛び出しに
俺の心理士としての明晰な思考が一瞬にして停止した。
目の前の純一は、自分の言った言葉の淫らさに今更気づいたのか
耳の裏まで真っ赤に染め上げて恥ずかしそうに俯いている。
「えっと…純一、どうして急にそんなことを?」
「この前ね、スマホでネットの記事を見てたら書いてあって…男の人はこれされるとすっごく嬉しいって。だから、りひとさん喜ぶかなって思って!うまくできるか分からないけど……」
「……俺を喜ばせたいって、そう思ってくれた気持ちは本当に嬉しいよ。でもね、純一が無理をしたり、疲れたりするなら、そんなことしなくてもいいんだよ?」