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あれから数日。
自分の部屋で1人、ゆっくりお茶をしていると、慌(あわ)てたような足音が近ずいてくる。
……この気配はお父様だな。
公爵家主人がマナーを破る程の慌てっぷりだ。
ただ事では無いのは直ぐに分かった。
……嫌な予感がする。
バンッ
「おいリース!!お前は一体舞踏会で何をやらかしたんだ!?」
少し待っているとお父様が血相を変えて部屋に入って来た。
「…うーんと、この前の舞踏会ではレリアと踊って、その後ベランダで庭を散歩して…そこで誰かと話したりもしたな…」
「誰とだ?」
「……」
どうしようか、ここは素直に言うのが吉だろうか。お父様気絶しないだろうか。
そう迷っていたら、お父様は血色の悪い顔で
「ウィーリア王国の第二王子、ルティーサ・ネオン・ウィーリア様が、お前に会いたいと仰っている」
「………は?」
お父様から聞いた言葉が信じられなくて思わず素で返してしまった。
おっといけないいけない。
というか何故王j…(( じゃなくてルテイーサ様が僕に……?
「と、とにかく話は後で聞くからとりあえず今はサロンに案内しておるから直ぐに支度して行け!」
「はっはい!…」
王族を待たせる訳にはいかない。
連絡もせずにくるのも王族としていかがな事かとも思うが()
とりあえず急いで支度…といってももう着替えて居たので鏡でチェックするだけだが、さっさと済ませてサロンへ向かい扉をノックする。
「リース・アビュラルです」
「入れ」
「失礼します」
扉を開けると、アンブリゴナイトの瞳(長いから水色と言おうかな)と目が合う。
「突然の訪問ですまないね。手紙を送ってから行こうかとも思ったが、居ても立っても居られなくてね」
「いえ、恐縮です」
「リース、」
僕がそう言うと、王j…ルティーサ様は何か言いたげな顔でこちらを見てくる。
ええ、きっと敬語のことについてだろう。
「他の人の目が御座いますので」
「……では、人払いをしてくれ」
「承知致しました」
部屋に居た使用人を出し、護衛は廊下で待機させる。
正直人払いを命じてくれて助かった。
使用人の前で第二王子に気軽に話しかけるのはまずいだろう。
そして改めて、第二王子__ルテイーサ様に向き直り御挨拶をする。
「改めましてルテイーサ・ネオン・ウィーリア殿下、この度(たび)はこの様な僻地(へきち)へ足を運んで頂き誠(まこと)に有難う御座います」
「おい」
そう言うと睨(にら)まれてしまった。
「はいはい、普通に話すよ」
こうなればどうにでもなれ、ヤケクソだ。
「……」
「…で、なんの用かな?ルテイーサ様」
一応2人にしたが、何故か不服な様子である。
少し間があいて、ルテイーサ様が真剣な表情で口を開く。
流石王族だ。迫力がありこれで8歳で同い年とは末恐ろしい。
「単刀直入に言う」
「……」
「俺の専属護衛になって欲しい」
「……はい?今、なんて?」
聞き間違いだろか、今僕を専属護衛にしたいとかぶっ飛んだ言葉が聞こえたような。
「だから、君に俺の専属護衛になって……それと、俺の友人、に、なって欲しい…のだ」
「……へ?」
専属護衛?友人?
「は、初めて君に出会った時、衝撃だった。
俺だって鍛えてるけど、まだまだ幼くて、大人とは大きな力の差があって、この差はどうしようもなくて、勝てるわけが無いと思っていた。君に出会うまで。
君に助けてもらった時凄いと思った。
大人を物ともせず、涼しい表情で息一つ乱さず勝って、君に、憧れたんだ。
友達になりたいって、勿論(もちろん)、専属護衛としても心強いし、安心出来ると思ったんだ。
君なら大丈夫だと、信頼出来ると、そう直感で思ったんだ……。
だから、君が良かったら、俺の護衛、友人になって欲しいんだ……他の人だって良いと言ってくれているし、俺も……そう思う。
返事は直ぐにじゃなくて良い、ゆっくり考えて欲しい」
「僕が、信頼、出来る……?」
どうしてそんなことが言えるのだろうか。
僕らはこの前出会ったばかりで、
僕はあの後会いたくなくて、
巻き込まれたくなくて、
帰って、性別も偽(いつわ)っている。
……信頼出来るとこなんて1つもないだろう…?