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「……ルティーサ様、折角(せっかく)の誘いだが…」
「待って」
僕が言葉を言い終える前に口を人差し指で押さえられ、言葉が途切れる。
目の前に輝く水色の大きな瞳が僕の目を真っ直ぐに見つめる。
まるで僕の全てを見透かされそうな、強い、揺るぎのない意志を持った瞳だった。
「今すぐに返事をしなくて良い、ゆっくり考えろと言っただろう?」
「ッ……//」
僕の目の前に酷く整った顔があり、言葉に詰まる。
流石にずっと男装をしていても、心まで男なるわけがない。
だから、こんな近い距離に慣れていなくてドギマギしてしまう。
……近い。近すぎる!!!
頼むから早く離れてくれッ!!!
「分かったか?」
ルティーサ様の言葉に全力で頷(うなず)くと、満足した様に顔を綻(ほころ)ばせた。
「ありがとう」
「う、ううん…用事はそれだけ?なら早く…」
「ん?何言ってるんだ?これから一緒にお茶をしようと思って来たんだよ?」
「え”」
「お菓子も持ってきたのだ!リースの話が聞きたくてね。さ、早く食べよう!」
「あ、う、うん…」
これは決定事項のようだ。
これは満足してもらえるまで解放されないんだろうな……早く終わって欲しい()
「それじゃあ早速……」
「待って」
「?」
ルティーサ様がお茶を淹(い)れてもらうために使用人を呼ぼうとしたのを止める。
本来なら王族の言葉を遮(さえぎ)ったのだから不敬(ふけい)に当たるが致し方ない。
この際もうどうなっていい、今更って感じだ。
「僕は部屋に人が居るのをあまり好かないんだ」
性別がバレたくないから。
「お茶は僕が淹れるから待ってて」
「そうなのか……分かった!それじゃあ頼むよ」
「うん」
僕がそう言うと何故か嬉しいそうな顔をする。
ん?不敬なことをしたのに何も言わないのだな。
不思議な王族だな。って気づいてないだけかも知れないが()