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数日後は、お父さんの誕生日。
毎日忙しくてなかなか会いにいけないけれど、プレゼントを買って送ろうと思った。
久しぶりに百貨店に足を運ぶ。
ここの婦人服売り場には、涼香姉さんがいる。
本当は、一緒に何か贈ろうと声をかけたかったけれど、この前の様子では断られるとわかっていたから、今日は1人で選ぶことにした。
私は、違う階にある紳士服売り場を見て回った。
お父さん、出かける時間もないくらい頑張っているから、何をあげれば喜んでくれるだろうか。ありきたりかもしれないけれど、ゆっくり休んでほしいからパジャマにしようかな。探すと結構色々な種類があって目移りする。
「お父さんに似合うのはどれだろう……。迷っちゃうな」
久しぶりに男性にプレゼントするからか、自然にワクワクしている。もちろん、あまり高価なものは買えないけれど、お父さんの喜ぶ顔が見たいから、少しは奮発して肌触りの良い物を選びたい。
ニコニコしながら目の前にある紺色の素敵なパジャマを手に取った時、誰かが私の肩を叩いた。
思わず「キャッ」と声が出る。
慌てて振り向くと、
「琴音」
そこには、眩しいくらいのイケメンオーラを放つ男性が立っていた。
「えっ!? りゅ、りゅ、龍聖君!?」
どうして?
どうしてあなたがここにいるの?
まさか、幻を見てるの?
私は、あまりの驚きにパジャマを持ったまま固まってしまった。
「琴音、ここで何を?」
それはこっちのセリフだ。
「わ、私はパジャマを……って、そんなことよりどうしてここに?」
「男性用のパジャマか……彼氏へのプレゼント? そっか、まあいいよ。俺は、ついこの間日本に戻った。これからは、こっちのホテルでいろいろ勉強することになる」
「戻ってたんだ……。知らなかったよ」
龍聖君が目の前にいることが信じられなくて、体が小刻みに震える。