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少年Mが最初に作り出したのは、「夢魔」や「淫魔」と呼ばれる存在だった。伝説だと夢の中に現われ、性的な誘惑をする下級の悪魔だ。ただ、Mの作りだした「夢魔」は、やっかいなことに現実に影響を与える存在だった。だから「淫魔」と呼ぶ方が正確だろう。
その能力は、人間の性的な欲望を刺激すること。そして代価は性的な行為をすること。代価を払うのは自分でなくてもいい。他人に性的なことをさせて、それを悪魔に見せるだけでよかった。
となると、うまく使えば、能力を行使するだけで、代価を払うことが出来る。誰かの性欲を刺激し、性的な行為をさせれば、それで代価を支払えるからだ。この手軽さが、最初に選ばれた理由かもしれない。
Mは、この悪魔を使って「復讐」を始めた。もっとも、前にも言ったように、それは「復讐」というより、Mの思い込みによる八つ当たりのようなものなのだが……。
標的となった少女は、仮に「沙織ちゃん」としておこう。Mの残したノートによると、「沙織ちゃんに告白されたが、こっぴどく振られた」という。ところが、沙織ちゃんによると、そもそもMから告白されたことがないという。おそらくMなりに好意を伝えたのだろうが、それは沙織ちゃんにはまったく伝わっていなかった。気持ちを無視されたという点では「こっぴどく振られた」ことになるのかもしれないが……。
Mも最初は、自分が生み出した怪物を上手く使いこなせなかったようだ。Mは、淫魔を使い、沙織ちゃんの性欲を刺激し、恥ずかしいところを見てやろう、と考えていたようだ。そこで、学校の放課後、淫魔の力を使った。
沙織ちゃんは最初もぞもぞしていたが、トイレに行ってしまった。どうやら悪魔は召喚者の眼を通してものを見ているらしく、代価の「悪魔に見せる」ためには召喚者自身がそれを見なければいけない。沙織ちゃんにトイレに逃げられたMは、代価の支払いに困ることになった。
そこでMは、女子トイレの前でオ・ニーを始めた。それをトイレから出てきた沙織ちゃんに見られてしまった。沙織ちゃんは気持ち悪いと思ったものの、言いふらしたらMがかわいそうだと思い、自分が見たことを黙っていた。
ところが、Mは沙織ちゃんがみんなに言いふらしたと思い込み、自分も同じことをしてやる、と心に誓ったのだった。
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