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星のおまつりの日まで、あと七日。村じゅうがそわそわしていて、広場は色とりどりの布や旗でいっぱいだった。
パン屋さんも、鍛冶屋さんも、みんなお祭りの飾りや食べものを用意している。
わたしは、おばあさんに呼ばれてお手伝いをすることになった。
「ミナちゃん、あなた小さいから手がはやいし、器用だもの」
そう言われて胸がぽっと熱くなった。
──お役に立てるんだ。
おばあさんは、布の包みをそっと開いた。
中には、金色に光る大きなたまごが一つ。
手を近づけると、ほんのりあたたかくて、
まるで中で小さな星が生きているみたい。
「これをね、丘の上の飾り場まで運んでほしいんだよ」
「わたしが…?」
「そうだよ。途中で割れたら大変だから、気をつけて運んでおくれ」
わたしは両手で卵を抱えてみた。
思ったより重くて、胸のあたりまでしか持ち上がらない。
でも、なんだか守ってあげたくなるような不思議な感じがした。
「うん、ぜったいに届ける!」
そう言って、わたしはしっかり卵を抱きしめた。
丘の上までは森を抜ける近道があるけれど、
おばあさんは言った。
「ミナちゃん、道中にはイタズラ好きのリスたちがいるから気をつけるんだよ」
──リスなんて、こわくないもん。
そう思っていたけど、このあとすぐ、わたしはその考えを変えることになる。