「はぁ……いつ終わるんだろう?」
ウェルは一人呟きながらシンから罰で言い渡された物置の掃除をしていた。
その部屋は壁一帯はクリーム色、出入り口正面から見てすぐ右の壁に窓が設置されてそこから光が差し込んでいるだけ。部屋の中は薄暗く、年代までは不明だが、骨董品が多く詰めて置かれている。
定期的に掃除はされているとはいえ、叩けば埃が舞うほど。
本来ならば、物置部屋を掃除する際は5、6人で掃除する。
ウェルはそんな部屋を毎日サボらずに掃除を続けている。
こうなってしまったのはサボったのが原因だ。
自分のしたミスは行動で取り返すしかない。
上司のシンから3部屋やるように言い渡された。すでに2部屋終わらせた。
残り一部屋というのが1番広い部屋で終わりが見えないとため息をつきながらウェルは掃除していた。
トントン!
「……はい!」
だが、ウェルが掃除中、扉からノック音が聞こえたため、カチャッと急いでドアを開けた。
「……あれ?」
ドアを開けたものの、あたりを見渡すと誰もいない。
悪戯か?それとも気のせいか?そう疑問を浮かべつつ、ウェルは掃除に戻ろうとすると。
「うぇる……どうも」
「……あえ!!」
足元から声が聞こえて思わずウェルは驚く。
そこには、仕えているこの屋敷の主人、キアン=ユベールの息子のアレンがいたのだ。
「あ、アレン様……どうかされたのですか?」
「うん。ウェルとはなしがしたくてきたの。はいるねー」
「ちょっ……チッ」
ウェルはいきなりのことで困惑するも、舌打ちをした。
もしも第三者にこの場を見られたらどう思われるかわからない。
ウェルは焦りと苛立ちが増したが、アレンは気にせず勝手に入室した。
「……すごいね。もうこんなにきれいになってるよ」
「……ありがとうございます。……アレン様、ここは埃も舞っていて、せっかくのお召し物が汚れてしまいますよ」
ウェルはアレンに早く出ていけよと遠回しに伝えようとするが、所詮は3歳児。理解ができるわけがない。
何をやっているんだ俺は……そう思いつつ、どうすれば部屋を出て行ってもらえるかを考える。
だが、その思考はすぐに焦りから困惑へ変わる。
アレンの言葉を聞いてからだ。
「そんなに焦らなくてもいいよウェル。僕は君に提案しに来たんだ。……何、そんなに悪い話じゃない。もちろん受けるかどうかは君次第だよ」
「…………はい?」
ウェルは今目の前の現状を理解できなかった。
3歳児で物心すらついていないはずのアレンが発するような言葉ではなかったからだ。
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