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百合の肌がかっと熱くなり、情熱で震えるのを感じながら、隆二は彼女の肩へと唇を動かし、誘いかけてくるような肌を軽く噛んだ
百合が音を外し、鍵盤の上で指をもつれさせた、彼女を動揺させてやった喜びを噛みしめてた
そして演奏をやめていつものように逃げ出すだろうと思っていたが、彼女はふたたび指をピアノの上に置き、気を落ち着かせるように大きく深呼吸をしてまた演奏をした
これは彼女がさらなるキスを誘っているのだと隆二は理解した
「こんなことしないで・・・」
百合があえいだ・・・胸をすばやく上下させている、しかし彼女は激しく隆二を拒否するどころか、ポロポロ涙を流し出した、この家にやって来てから激しい怒りをぶつけられたことはあっても、小さな女の子の様に泣かれたのは初めてだった
隆二は途端に胸が苦しくなった
「百合・・・」
隆二はぎゅっと無言で泣き続ける百合を抱きしめ、膝の上に乗せた
「俺達の子は・・・男だったかな・・・女だったかな・・・」
「今更それを言って何になるの?・・・」
どうか彼女が心を開いてくれますように・・・そう思いながら彼女の背中と髪を優しく撫でた
まるで手からヒーリングパワーが出ている様に・・・傷ついたあの頃の小さな彼女を慰めるように・・・
「すまなかった・・・本当にすまなかった、あの時妻が臨終でどうしても帰らなきゃいけなかったんだ」
百合は目を伏せた
「奥様が亡くなってから連絡ぐらいできたはずよ・・・」
「君に憎まれてると思っていた・・・とてもではないが顔を合わせられなかったんだ」
「どうしてそんなに浴びるほどお酒を飲んでるの?」
「酔って夢の中でなら君は俺に微笑んでくれるから・・・」
そっと彼女がポロポロ流す涙を唇で救う
「嫌いよ・・・あなたなんか・・・」
「リーファン・・・」