テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「……帰ろっか」
元貴がそう言うと、
涼ちゃんは小さくうなずいて、ゆっくり布団から起き上がった。
動きは慎重で、
まだ完全に戻っていない感じがする。
元貴が制服とバッグを差し出す。
「はい」
「……ありがとう」
涼ちゃんはそれを受け取って、静かに言った。
「ごめん、ちょっと外で待ってて」
「おけ」
元貴は何も聞かず、すっとカーテンの外に出た。
俺もそのまま、外側で立つ。
白いカーテン越しに、
影が動く。
ジャージを脱いで、
制服に袖を通す、そのシルエット。
(……)
思っていたより、細い。
無駄な線がなくて、
すっと伸びた背中と腰のライン。
(藤澤……)
正直、目を逸らすべきだったのかもしれない。
でも、なぜか動けなかった。
綺麗なスタイル、
でもそれよりも先に浮かんだのは、
(……ちゃんと、食ってない体だ)
そういう現実だった。
影が止まり、
着替え終わったのが分かる。
俺は視線を床に落とした。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!