テラーノベル
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M!LKのリハーサルが終わった夜。
スタジオには、まだ少しだけ音楽の余韻が残っていた。
「はぁ〜……疲れたわ」
床に座り込んだ大智が、タオルで首元を拭く。
汗で少し前髪がくっついている。
「大智、ちゃんとストレッチしないと明日ヤバいぞ」
仁人がペットボトルを投げてよこす。
「わかっとるって」
キャッチした大智は、キャップを開けてごくごく飲む。
少し沈黙。
スタジオには、もう二人しかいない。
「なあ仁人」
「ん?」
「今日の振り…ミスってたやろ俺」
仁人は少し笑う。
「見てた?」
「当たり前だろ。リーダーなめんな」
「うわ、やっぱバレとるやん」
大智は後ろに倒れて天井を見た。
「なんかさぁ……」
「ん?」
「最近うまくいかへんねん」
いつもより小さい声。
仁人は黙ってその横に座る。
「みんな上手いやん。舜太も柔太朗もさ」
「俺だけ置いてかれてる気ぃして」
仁人は少しだけ眉をひそめた。
そして。
大智の額を指で軽く弾く。
「いっっった!」
「アホ」
「なんで叩くねん!」
「誰が一番お前見てると思ってんの」
大智は一瞬、言葉を失う。
仁人は続ける。
「お前、めちゃくちゃ努力してるじゃん」
「……」
「ミスも一番悔しがるし」
少し近い距離。
「だから」
仁人は大智の頭をぐしゃっと撫でた。
「俺は一番信頼してる」
大智の顔が一気に赤くなる。
「ちょ、ちょっと待ってや」
「何」
「距離近ない?」
「今さら?」
「いや今さらや!」
大智は慌てて立ち上がる。
でも。
仁人が腕を軽く掴んだ。
「逃げんなよ」
「逃げてへん!」
「顔真っ赤」
「うるさい!」
仁人はクスッと笑う。
「ほんと素直じゃねぇな」
「誰のせいや思っとんねん!」
「俺?」
「そうや!」
しばらく見つめ合う二人。
そして仁人がぽつり。
「……好きだな、ほんと」
「……は?」
大智の思考が止まる。
「え?」
「え?」
数秒。
「いやいやいやいや!!」
「声でか」
「今なんて言うた!?」
仁人は平然としている。
「だから」
少し笑って。
「好きだって」
大智、完全フリーズ。
「……冗談やろ?」
「どう思う?」
「わからんわ!!」
仁人は立ち上がって、出口に向かう。
「帰るぞ」
「ちょ待て!!」
大智は慌てて追いかける。
「今の説明せえ!!」
「また今度」
「今やろ!」
夜のスタジオに、大智の関西弁が響いた。
でも。
仁人は少しだけ嬉しそうに笑っていた。
コメント
2件
この2人尊すぎて滅すぎる...💙💛