第一章 家族の絆
エピソード4
今日は、家族で未来が入院している病院に行く。
個室の病室で未来が呼吸器をつけ、眠っている。
未来を起こさないように3人は、静かに病室に入る。大きな包みを持って。
だが、物音で未来は薄らと瞼を開く。
「ごめんね。起こしちゃった?」と母はいう。
未来は苦しそうに応える。
「お…かあ……さん」
「お兄ちゃんも来たよ」とぼくはいう。
「今日は、未来の誕生日だからな。みんなで来たぞ」と父がいう。
「たん…じょう…び?」と未来は聞く。
両親とぼくは丸椅子に座り、未来のそばに寄り添う。
父は背中で隠していた大きな包みを未来に見せる。父が包みを開けるとそれはピカピカに光った赤いランドセルだった。
「4月から1年生だからね。」と母はいう。
「お誕生日おめでとう!」と3人は口を揃えていう。
「あ…り…が…と…う」と未来はいう。
「ケーキも買ってきたんだよ。みんなで食べようね。」と母はケーキを取り出しいう。
「ゆ…め…で…みん…な…に…あっ…て…き…たよ…」「おか…あ…さん…の…ホッ…ト…ケー…キ…たべ…た…よ」と苦しそうに未来はいう。
その時、ぼくはあの時の”お姉ちゃん”を思い出したのである。
「お母さん、もしかしてあの時の”お姉ちゃん”かも」とぼくはいう。
「未来は会いに行ったのね。。やっぱりあの子は、未来だったのね。」と母は涙を浮かべながらいう。
「未来の命を無駄にはしないよ。」とぼくはいう。
それから、1ヶ月後、アメリカへ未来は旅立つ。
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