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「そんな大変な時に私のことを思い浮かべてくれたんだ」
「ああ」
きっと数秒のことだったんだろう、なのに……
そう思うととても嬉しくて、また泣けてしまう。
ダメだ、本当に、涙ばっかり。
「そ、その後ね。青山さんが救急車を呼んでくれたんだよ。会社や龍聖君のお父さんに連絡したり、すごく大変そうだった。私にも連絡が入って「AYAI」の店長がすぐに病院に連れてきてくれたの。店長、手術が終わるまでずっと龍聖君のこと心配して待っててくれたんだよ。大丈夫だってわかったから、今さっき、会社に戻ってもらった」
「そうだったのか。店長さん、仕事中だったんだろ? それはとても悪いことをしたな」
龍聖君は申し訳なさそうな顔をした。
「……私がね、顔面蒼白でいたら、『旦那さんが頑張ってるのに、奥さんとして信じてあげないとダメだ』って言ってくれて。だから私、龍聖君の妻として、必ず目を覚ますようにって祈ってたんだよ」
「……ありがとう。琴音にも店長さんにも申し訳ないことをした。俺、あの時、すごくボーっとしてたんだ」
龍聖君は、思わず顔を曇らせ、うつむいた。
「考えごとしてたの?」
「ああ。どうするのが1番いいのかずっと悩んでたことがあって。仕事中に……ダメだよな。そしたら……こんなことに。人に迷惑や心配をかけて、何から何まで本当に情けない」
「そんな風に思わないで。龍聖君、いつも頑張り過ぎなんだよ。すごく疲れてるんだから、入院中はゆっくり休んで」
それは、私の切望だった。
「ああ、そうだな……少し、休むか……」
「うん。とにかく傷が塞がるまでは絶対無茶したらダメだからね。ちゃんと休んでしっかり治す!」
「厳しいな、でも奥さんの命令なら仕方ないな。迷惑かけた分、言うこと聞くよ」
龍聖君はニコッと微笑んだ。
その時、青山さんが駆けつけてくれ、龍聖君の姿を見て泣き崩れた。
「龍聖さん! 良かった、良かった……本当に……生きていてくれて……良かった」
男同士の感動の再会。